東海大学建築会公開セミナー「Linkage+ 人・建築・都市をデザインでつなぐ」を開催しました

東海大学建築会が6月25日にオンラインで、公開セミナー「Linkage+ 人・建築・都市をデザインでつなぐ」を開催しました。本会は、本学工学部ならびに建築都市学部建築学科の学生、卒業生、教職員、元教職員ら約1万6000名が所属しており、大学および学科と連携するとともに学科同窓会としても活動しています。今回は本会の第31回総会と合わせて、「Linkage 人・建築・都市を○○でつなぐ」を共通テーマとして全9回の講演を実施している建築都市学部オープニングセミナーの特別編「Linkage+」として企画。建築都市学部の岩﨑克也学部長が「『建築から都市を都市から建築を考える』―都市と建築空間の<重なり・奥行き>のデザイン―」をテーマに講演しました。

岩﨑学部長は初めに、のれんや鳥居をくぐり都市空間から建築空間に移動する「潜る移動体験」、階段や天井の高さの違いを感じながら領域をつくる「断面の差異」、オープンエンドやアイストップによる「視線の制御」、建築と都市の境界面が重なり折り合っていく「境界面の重合」という4つのキーワードを提示。自身が株式会社日建設計時代に手がけた6つの建築を例に解説しました。公園の中央に設置された「東京理科大学葛飾キャンパス」は、東西を貫く「キャンパスモール」を軸に、屋外空間、半屋外空間、交流スペースを階層的な空間構成とし、南北の公園をつなぐ「ガーデンパス」にはゲート上の建物を潜る仕かけを設けたことを紹介。「キャンパスを一つの都市として見立て、空間の重なり方を考えながら作っていきました」と語りました。「慶應義塾大学三田キャンパス」は既存の建物と新しい建物の高さをそろえ、階段を上って中庭にアプローチするといった「元からあった大学のよさを生かしながら、イメージを継承して考えた点が評価されました」と話します。

「明治大学駿河台キャンパスグローバルフロント」は、既存の「リバティタワー」「アカデミーコモン」との群造形を意識して計画。「上智大学四谷ソフィアタワー」は、建設予定地が面している麹町大通りと既存の2つの建物の軸が45度ずれていることから、「明大同様、群造形を意識して上層階の壁面は既存の建物にそろえ、下層階は麹町通に面するように角度を変えました。大学とオフィスの複合建築ではおそらく日本初の試みでしたが、一体に見せるように壁と天井面を折り曲げながら一つの塊に見えるように形を操作しました」と解説しました。「港区白金の丘学園」は坂の途中に立つ地形を生かし、建物にリボンを巻きつけるようにスロープや階段を設置し、「大田区特別養護老人ホームたまがわ」は敷地前面にある公園とつなぐようにコの字型の建物の中に庭をつくることで緑を引き込む工夫を施したことなどを説明しました。これら6つの作品に共通して、「都市と建築空間が向き合う結節ポイントの重なりや奥行きを注意深くデザインして、建築と都市の相互の関係性を意識しました」と括りました。