寿都町の北海道臨海実験所で研究発表会を開催しました

生物学部海洋生物科学科では、本学が北海道寿都町に設置している北海道臨海実験所を活用した卒業研究の成果発表会を2月23日に開催しました。この催し は、本実験所における研究活動の成果を地元市町村役場や漁業協同組合、漁業者、一般市民の皆さまに知ってもらうと同時に、地域の方々とのコミュニケーショ ンを通じた研究課題の掘り起こしを目的として、昨年度からはじめたものです。

23日当日は、会場となった実験所講義室に、寿都町役場の職員や寿都漁業協同組合職員、漁業者をはじめ、近隣の島牧村役場や島牧漁業協同組合、北海道庁後 志振興局、後志森林管理署の職員、水産試験場の研究員、水産加工会社・潜水調査会社社員ら計47名もの方々が参加。臨海実験所所長を務める本学部の櫻井泉 教授が、今年度の活動内容と来年度の活動計画を報告。続いて、櫻井研究室に所属する4年次生6名が、卒業研究の成果を各10分ずつ発表し、続いて各5分程 度の質疑を行いました。学生たちは、「マガキ稚貝を食害するオウウヨウラクの分布について」や「ホタテガイの殻体運動とエネルギー消費に及ぼす高水温の影 響」「マナマコ人工種苗の成長・生残に適した餌料条件について」「マナマコ中間育成施設に関する研究」をテーマに発表。特に、「漁港周辺に形成される落ち 葉堆積場のマクロベントス群集について」と「漁港周辺に形成される落ち葉堆積場の魚類保育場としての重要性」の漁港周辺に形成される落ち葉堆積場に関する 2題の発表は、森から海に流れ出た落ち葉が魚の餌生物を育む成育場の形成に役立っているという趣旨のもので参加者の関心も高く、海産魚の成育に森が重要な 役割を果たしていることから、水産分野だけでなく林業分野の出席者からも多くの質問や意見が寄せられました。

指導する櫻井教授は、「寿都町を含む北海道後志南部地域では、森・川・海のつながりに着目した豊かな自然の恵みを観光の目玉にしようと、地域・行政が一体 となって植樹、磯焼け対策、間伐材利用などの各種事業に取り組んでいるところであり、今回の落ち葉堆積場に関する研究発表は、森と海のつながりを示す科学 的根拠として事業の推進に役立つものと思われます。また、参加者との質疑応答は、学生にとって有意義な経験になったと思います。さらに、マガキやホタテガ イ、マナマコの研究については、養殖に取り組んでいる漁業者から日々の業務で感じている疑問点などが寄せられ、この1年間に学んだ知識を総動員しながら懸 命に答えている学生たちの姿は、指導教員としてとても頼もしく映りました。今後も地域産業の活性化に貢献すべく、発表会を続けていきたいと考えています」 と語っています。

寿都町の北海道臨海実験所で研究発表会を開催しました

寿都町の北海道臨海実験所で研究発表会を開催しました