山本 康治 教授
やまもと こうじ
所属 児童教育学部 児童教育学科
学位
博士(文学)
研究分野
国語科教育/日本近代文学
キーワード
#国語 #文学 #詩 #物語 #ナショナリズム
文学×国語・・・文学教材(詩・物語)から何を学ぶのか
国語科では、文学教材(詩・物語)から何を学ぶのか
現在の国語科教育においては、文学教材が減少し、実用的な文章の修得にその中心が置かれるようになってきました。果たして、詩や物語と言った文学教材は不要なのでしょうか。今後、AI、ChatGPT等が活用されるサイバー空間において、人間が人間らしく振舞うため、文学教材からの学びはむしろ重要だと考えています。その様な視点から、これから必要な国語科教育を考えていきます。
文学と教育の関わりについての史的研究
1900年に成立した「国語科」は、これまでに様々な時代のニーズに応じた教育内容を展開してきました。例えば、大正デモクラシー下においては、子ども主体の教育が展開され、一方、戦時下においては、積極的に戦争を推奨する詩や物語が国定教科書によりすべての小学生に広げられました。教育は、時代や社会の影響から逃れることはできませんが、ある時はそれを乗り越え、あるべき姿に向けて試行錯誤することも必要です。史的研究を通して、各時代の価値観の中で、理想の教育を打ち立てようとした取り組みもまた見ることができます。このような「発見」を通して、改めて現在の国語教育に必要な内容について考えていきます。
山本先生が注力しているSDGs
児童教育学科に興味がある受験生へ
これまでに国語の授業でさまざまな物語や詩に触れてきたと思います。言葉が作り出す世界に没入し、登場人物の心情に寄り添うことは、楽しく、わくわくすることですね。実際になれない「自分」になったり、絶対に経験できない「経験」を物語の世界で味わうこと、これらは未知の世界を知ることになり、自らの可能性を開くことにつながります。このような体験を、幼児・児童にもぜひ味わってもらいたいものですね。入学後は、「初等国語」「初等国語科教育法」「初等国語研究」等で、そのための内容、方法について実践的に学ぶことになります。
本研究内容に関心がある外部の方へ
現在の国語教育では、実用的な文章に対する教育に力を入れています。生活の中で、言葉を正しく、適切に使うことはもちろん大切ですが、このような文法的な正しさだけでは、対人関係の場面では十分とは言えません。円滑なコミュニケーションのためには、相手の気持ちに立って考えたり、これから起こるべきことを予測して発言したりすることなどが大切になります。そのためには、登場人物の気持ちを体験したり、未知の世界を経験する、物語や詩などの文学的文章の読解が大切になります。実際の社会で必要な国語教育についてこれからも考えていきたいと思います。