プロジェクト演習1・2-絵本制作プロジェクトについて-

変化する社会状況に応じ、心理学や社会学の観点から解決を図るべき課題をテーマにして、学科の学びで獲得した認識枠組みや知見を活かし実践的な提案の発信を目指す少人数授業、それが「プロジェク演習1・2」です。その授業の一つに「絵本制作プロジェクト」があります。この授業では、発信メディアとして絵本が持つ機能に注目し、作品制作を通じて、「生きづらさ」を抱え社会で見過ごされがちである様々な当事者の存在や声をどのように届け、読み手の意識や行動の変化にどのように促していくかを模索しています。絵本の制作経験のない履修生の多くは、自作の絵を描くことをはじめ、当事者の声や経験の受け止め方、また声や経験を心理・社会学的な視点から問題構成して作品の中に組み込む工夫など、作品づくりの困難や苦労を経験します。しかし、次第に形となっていく作品群を相互評価する場面での打開のヒントの発見や共有を重ねる中で、「生きづらさ」とその緩和への期待が当事者に限られたものではなく、自分たちにとっても重要な課題であることを実感するようです。絵本は懐かしさを憶える図書であるかもしれませんが、読み手・作り手を問わず、世界の見方を変える興味深いメディアでもあるのです。