学科教員リレーエッセイ⑧ 小泉眞人 教授「広告や広報は、社会を映す鏡!その鏡で自分を見つめ直そう!」

さまざまなメディアにおいて、日々、多くの情報が流れています。マスメディアとしての新聞、雑誌、ラジオ、テレビとともに、いまやインターネットを通じた情報発信は、多くの人々の生活に大きな影響を与えています。そのような中で、企業の広告活動や広報・PR活動という企業のコミュニケーション活動も、近年、新たな流れが出てきました。

例えば、企業の販売や売上げを主な目標にしてきた広告活動は、いまや企業や商品のブランドイメージ(企業や商品への信頼度)をより高めるコミュニケーション活動へとその役割が変化してきました。一方、企業と社会とのより良い関係(つまり信頼できる企業や商品となること)を創ろうとしている広報・PR活動も、今まで以上に売上げに貢献するようなコミュニケーション活動になってきました。このように広告活動と広報・PR活動の垣根が、少しずつ低くなってきているような現象が実際に出てきているのです。

企業におけるコミュニケーション活動は、社会の環境や経済状況、そして何よりメディアの変化に大きく影響を受けています。まさに企業のコミュニケーション活動である広告活動や広報・PR活動は、社会を映す鏡といえるのです。逆にいえば、企業のコミュニケーション活動を研究することで、社会や経済、メディアの変化を捉えることもできるのではないでしょうか。両者はまさに相互作用(互いに影響を与え、影響を受ける関係のこと)の中にあるといえるのです。

このように社会はさまざまな相互作用の中で成立していると考えることができます。だからこそ社会や経済、メディアを研究することと同時に、企業のコミュニケーション活動である広告活動や広報・PR活動を研究することで、多面的かつ本質的に社会そのものを学ぶことに役立つといえるのです。普段から社会を取り巻く環境変化が常に起こっていることを学生には意識するように伝えています。私のゼミナールの学生たちも、日々の研究活動の中で変化し続ける企業のコミュニケーション活動と向き合っています。

最後に、これらの社会を映す鏡を通して、自分自身を見つめ直すことによって、自己の成長や学びの機会につながることを、高校生や大学生の皆さんには大いに期待したいと考えています。社会は常に変化し続けています。だからこそ自分を見失わない鏡が必要なのかも知れません。