文化社会部北欧学科の夏季セッション科目「北欧の自然と環境、北欧の環境と暮らし」を開講しました

文化社会部北欧学科では湘南校舎で8月4日から10日まで、夏季セッション科目として「北欧の自然と環境、北欧の環境と暮らし」(担当教員:柴山由理子講師)を開講しました。北欧の地理・自然への理解やデザイン、持続可能な環境生活などについてさらに理解を深めることを目的としたものです。期間中は約30名の学生が受講し、講義だけでなく、北欧映画の鑑賞や学内外の北欧関連の設備・企業を見学しました。さらに5日にはルイスポールセンジャパン株式会社の荒谷真司氏と本学の織田憲嗣名誉教授(北海道東川町デザインアドバイザー)を講師に招いた特別講義も行いました。

5日は、初めに荒谷氏が「デンマークの光について」と題して講演。日本と北欧の太陽の高さの違いとそれに伴う自然光の特徴について説明し、「コペンハーゲンの太陽は夏至には57度、冬至には11度までしか上がらず、ゆっくりと緩やかに上り沈んでいきます。この斜めから入る光は窓から部屋の奥まで射し込み、壁や天井にあたると光が乱反射するため、柔らかく温かみのある室内がつくられます」と話しました。続いて、照明の仕組みやデザイナーのポール・ヘニングセンの照明製作の歴史、室内照明による空間づくりについて解説しました。その後は、オンラインで織田名誉教授が「ヒトとモノとの関係」と題して講演。北欧とアメリカ、日本の一般家庭にあるモノの数の比較や「本物」の家具に親しむことの重要性について説明し、「北欧には、いいものを修理しながら長く使い続ける文化があります。そのため、北欧のモノは何年使っても飽きがこず、どのようなシチュエーションでもなじむ『引き算の考え方』が含まれたデザインが多くあります」と話すとともに、商品の原価や製作にかかる人件費、買い物の仕方の仕方について解説しました。その後は、湘南校舎20号館内に設置された北欧家具や照明を荒谷氏の案内で見学しました。

6日には東京・六本木にあるルイスポールセンジャパンのショールームを訪問。柴山講師の研究室に所属するゼミ生とともに、荒谷氏の案内のもとでさまざまな種類や用途の照明を見学しました。さらに、8日にはフィールドワークとして、デンマークやフィンランドで厳選して買い付けてきたビンテージの北欧家具を取り扱う「北欧家具talo」を訪問し、実際に家具に触れることで機能性やデザインを確かめるとともに、店舗のスタッフの方に国ごとの特徴について説明いただきました。また、北欧家具taloの2号店「tool&tool」も訪ね、ビンテージの北欧食器や雑貨などを見学。受講した学生からは「実際に見て触ることで、座学では分からなかった質感や重量などを知ることができました。また、実際に販売するスタッフの方から人気なデザインや選び方など話が聞けてよかった」「普段の授業とは違い、グループワークも行ったので学生同士で意見交換ができて面白かった」といった声が聞かれました。

柴山講師は、「夏季セッション科目を開講するのは初めてでしたが、ワークショップや意見交換の場も設けたことで普段の授業よりも学生との距離感も近く、しっかりとコミュニケーションが取れていたのではないかと感じています。また、私とは専門分野の異なる荒谷氏と織田先生に講演いただいたことで、これまで知らなかった新しい“北欧”が見えてきたのではないかと思います」と話していました。