大学院工学研究科機械工学専攻1年次生の齋藤時人さん(指導教員=工学部・宮沢靖幸教授)が、昨年11月14日と15日に湘南キャンパスで開催された「37th 2025 SAS シンポジウム」で、優れた内容と独創性のある発表に贈られる「ポスター賞」を受賞しました(参加当時は工学部4年次生)。SAS(Society of Advanced Science)は、従来の学問分野にとらわれることなく各界が協力して技術の将来を託す学生や若手技術者の育成し、社会貢献を目指して本学を中心に結成された学術団体です。同シンポジウムは自然科学全般にわたる研究発表や独自技術の発表を行うもので、37回目を迎えた今回は2日間で103件の発表があり、約210名が参加しました。ポスター賞は本学の教員や企業の研究者らで構成されるレフリーによる審査を経て選考され、SASが発行する学術雑誌『JAS(Journal of Advanced Science)』に投稿・受理された論文を対象に授与されます。

齋藤さんは宮沢教授を指導受け、「Al-Mn系合金(アルミニウムマンガン系合金)フラックスフリーろう付の接合強度評価」をテーマに発表。軽量で耐食性や熱・電気の伝導性に優れ、加工しやすいため熱交換器で使われるアルミニウムは、部品同士をつなぎ合わせるろう付の工程でフラックスろう付が多用されています。一方、フラックスは健康被害やコスト高が懸念されており、フラックスフリーろう付の技術が使われるようになっていることから、齋藤さんは一般的なろう付の評価指標のひとつである接合強度を検証。フラックスフリーろう付について引張試験とX線CT検査を使い、加熱速度がろう付に与える影響などを評価し、高い引張強度が得られる条件を探りました。その結果、引張強度は界面反応が起こる面積と相関し、急速な加熱によって増加すること、さらに界面反応の面積を大きくするためには接合面や試料の配置、精度が重要であることを明らかにしました。
齋藤さんは、「フラックスフリーでろう付すること自体がとても難しく、研究過程では強度の評価に至らなかったこともありましたが、大学4年次生の1年間で取り組んだことを評価していただけてうれしいです」と振り返ります。今後の研究について、「フラックスフリーろう付は適切に接合すれば、フラックスと同程度の強度があると見込めることから、パイプの接合など生活に密接な用途での置き換えが期待できると思います。大学院では、適応できる条件やできない条件を解明するなど、さらに研究を深めていきたい」と話しています。