「次世代研究創成拠点シンポジウム2023」を開催しました | ニュース | 工学部

東海大学では９月13日に、株式会社島津製作所東京イノベーションプラザメインホール（川崎市）で「次世代研究創成拠点シンポジウム2023」を開催しました。次世代研究創成拠点は、特色ある研究を推進する学内の３つの研究所「マイクロ・ナノ研究開発センター（MNTC）」「総合医学研究所」「先進生命科学研究所」の合同拠点として今年１月に設置しました。医学、理学、工学、AI、情報学、経済学など多様な分野を横断する学際的・独創的な学術的価値の高い研究を推進。その成果を実用化につなげるとともに、社会と学術界の連携による好循環を構築し、若手研究者や研究支援人材の育成を目指します。シンポジウムはオンラインでも配信し、本学の教職員をはじめ、大学や企業の研究者、文部科学省や自治体の職員ら224名が参加しました。

初めに梶井龍太郎学長代理が、「新たな分野で日本をリードする、世界に負けない研究を展開したいと考えています。ぜひご協力をお願いします」とあいさつ。続いて、稲津敏行副学長（理系担当）が次世代研究創成拠点の概要や今後の展開について紹介し、「災害医療や材料科学、スポーツ医学、衛星情報など、新しい拠点となり得る研究が進んでいます。学園の創立者・松前重義博士が訴えた“技術の社会還元”の考えを受け継ぎ、創立100周年に向けて、研究の充実・支援と実用化、人材育成に全力で取り組みます」と語りました。

若手・中堅研究者による研究紹介には４名が登壇。医学部医学科からは、中川草准教授（基礎医学系分子生命科学領域／総合医学研究所／MNTC）が「ワンヘルス研究のための大量塩基配列データ解析」、後藤信一講師（総合診療学系総合内科学領域／総合医学研究所）が「AIを活用した革新的診断技術開発―多次元臨床データ学習―」をテーマに発表しました。続いて、理学部化学科の荒井堅太講師（先進生命科学研究所）は、「典型元素戦略が拓く生命機能の拡張と強化の可能性」、MNTCの木村啓志教授（工学部生物工学科）は「マイクロ流体デバイス技術を基盤とする生体模倣システム」と題して発表。各研究について、活発な質疑応答を交わしました。

特別セッションでは、イギリス・オックスフォード大学のルイーズ・ボーマン教授が講演。2011年に始まり、14年の学術協定締結によってさらに連携を深めて実施している医学科の後藤信哉教授（内科学系循環器内科学領域／総合医学研究所）との心血管疾患に関する共同研究など、10年以上にわたる両大学の交流を振り返りました。また、イギリスのUKバイオバンクや大規模な観察研究を支援するナフィールド公衆衛生研究所（NDPH）のビッグデータに関する研究も紹介。「情報科学と医学・理工学の連携が東海大の強みです。文部科学省の支援により、両大学はビッグデータとコンピュータ技術を活用した個別化医療分野の研究で世界をリードできると考えます」と語りました。

最後に、文部科学省科学技術・学術政策局の池田一郎課長が、「地域中核・特色ある研究大学の振興について」をテーマに基調講演。大学に対する多様な施策について説明し、「自らの強みや特色を伸ばそうとする大学の戦略的経営が、全国的な成長のエンジンになります。そのためには、組織を超えた連携や相互理解が必要です」と述べました。参加者からは研究支援人材の育成などについて質問が寄せられました。