「第37回ダイヤモンドシンポジウム」が開催されました

湘南キャンパスで11月14日から16日まで、一般社団法人ニューダイヤモンドフォーラム主催の「第37回ダイヤモンドシンポジウム」が開催されました。同シンポは、CVD(化学気相成長法)ダイヤモンドを中心とするニューダイヤモンドの技術開発ならびに新用途分野開発に向けて、産学官の研究者や技術者の情報交換・相互研鑽の場とすることなどを目的に、毎年各地の大学や研究所などを会場に開かれています。初めて本学で開催された今回は、3日間にわたって「オーラルセッション」と「ポスターセッション」が行われたほか、2日目には青山学院大学理工学部教授の澤邊厚仁氏による特別講演「ヘテロエピタキシャルダイヤモンド研究のまとめ」と学術交流会も実施されました。

初日のポスター発表には、本学から大学院工学研究科の大学院生3名が参加しました。井出岳さん(2年次生)は、「熱CVD法によるCNT合成における二層触媒金属の組織解析」をテーマに発表しました。自動車などに用いられるワイヤーハーネス等への応用を目指して、カーボンナノチューブ(CNT)を糸状に加工する際に二層触媒金属を使用し、触媒の粒径や形状、元素分析を行った成果を発表しました。「このような場での研究発表は初めてで、参加者の皆さんと議論する中で新しい知見を得られるとともに、自分の研究の方向性が見えてきました」と充実の表情を見せていました。「AlN基板上でのCNT垂直配向膜の合成と構造評価」と題した研究を発表した菊地詩音さん(同)は、ノートパソコンやスマートフォンなどの小型電子機器の熱制御に使われているグラファイトシートの垂直方向の熱伝導性が低いという課題を解決するために、CNTを使用できないか検討。「CNTを活用できれば処理速度がアップし、製品も長持ちするようになります。発表は初日のみですが、講演や他の方たちの発表を聞いて最新の技術を学び知見を広げるのが楽しみです」と期待を語りました。また、CNTを糸状に撚って加熱処理を加え、構造評価を行い、「異なる紡績条件で作製したCNT糸の機械的性質と熱処理効果の検討」と題して発表した岡田環さん(1年次生)は、「まだまだ強度にバラつきがありますが、加熱処理で一定の強度を保証できればさまざまな製品に応用できるようになります。聞きに来てくださった方々との会話はとても有意義で、今後につながるアドバイスもいただきました」と話していました。

実行委員長を務めた葛巻徹教授(工学部機械工学科)は、「過去3年ほどポスター発表はオンライン開催のみでした。今回やっと対面に戻すことができ、学術交流会を含めてフルスペックでの開催となりました。本学での開催は初めてで、研究室総出で準備に当たりました。学生たちは研究発表だけでなく運営についても多くのことを学んでくれたのではないでしょうか。コロナ禍で学会などでの発表を経験できなかった学生が多かったので、今回の経験を今後につなげてほしい」と話していました。