「Medtec Japan 2024」に出展しました

東海大学では、4月17日から19日まで東京ビッグサイトで開催された「Medtec Japan 2024」(メドテック ジャパン、主催:インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社)に研究成果を出展しました。このイベントは、医療機器の製造・設計に関する国内唯一の展示会・セミナーです。本学は、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズのエリアにブースを設け、マイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)の木村啓志教授(工学部生物工学科)と岡村陽介教授(同応用化学科)が研究成果や開発した製品を紹介しました。

木村教授は、「創薬応用に向けた生体模倣システムの開発」をテーマに発表。微細な構造と流路を持つマイクロ流体デバイスを基盤技術として、神経や肝臓、小腸、腎臓といった多様な臓器の構造や環境を再現した生体模倣システム(Microphysiological systems;MPS)を紹介しました。木村教授は、「MPSは医薬品の開発に必要な動物実験の代替法として注目されています。東京応化工業株式会社等と共同開発した『多孔膜搭載型二層流路チップ:Fluid3D-X®』、住友ベークライト株式会社等と共同開発した『スターラ式オンチップポンプ型多臓器MPS』は、世界展開を目指して6月にアメリカ・シアトルで開催される国際学会『MPS World Summit』で発表する計画です。低コスト・高効率で扱いやすく、利用者の希望に添って簡便にカスタマイズできるのがこれらの製品の利点。新薬の早期創出に貢献するためにもMPSの有用性を広く伝えたい」と意欲を見せていました。

岡村教授は、「バイオイメージング用アクセサリとしての高分子ナノ薄膜」と題して、従来の顕微鏡観察で用いるカバーガラスを凌駕するナノ薄膜を紹介。試料をラッピングすることで乾燥などを防ぎ、長期・高精細な観察を可能したナノ薄膜は、本学発のベンチャーである株式会社チューンがMyell®(マイエル)シリーズとして製造販売しており、今回は実際の製品も展示しました。また、今年3月に共著論文として発表したNIRE法についても紹介。「NIRE法は、生きている動物の大脳皮質から小脳までに撥水性ナノ薄膜を貼付し、UV硬化樹脂で覆うことで、脳の状態を半年程度の長期にわたり高精細に観察できる手法です。海外からも問い合わせが来ており、実用化に向けて手応えを感じています。脳だけでなくさまざまな臓器への応用も含め、さらに研究を深めていきます」と話していました。

ブースには連日、医療機器メーカーや製薬メーカー、大学等の研究者らが数多く訪れ、製品の詳細や技術の可能性について質問する姿が見られました。MNTCの喜多理王所長(理学部物理学科教授)は、「MNTCは、総合医学研究所、先進生命科学研究所と共に東海大学次世代研究創成拠点を形成し、医理工をはじめ多様な学問分野を横断した質の高い研究成果の導出と、その成果の実用化を目指しています。今後も積極的に研究成果を発信して企業などとの連携や共同研究を進め、本学発の技術を社会実装につなげたい」と語っています。