【おしえてセンセイ!13】ロボットやAIを使って健康管理ができる時代は来る?

A.AIと高度なセンサを組み合わせて病気を予防する時代が目の前まで来ています。

 工学部機械工学科 槌谷和義先生

いつまでも健康で元気な生活を送るために必要なことは、病気を予防すること。そして、もしかかってしまったときでも早期に発見して治療することです。日本人の2人に1人がかかると言われるガンも、早期であれば90%が治療できる時代になっています。一方で、昔よりも座って生活する時間が長くなったり、パンや肉を中心とした欧米型の食事を摂る人が多くなったりしていることで、生活習慣病にかかる人も多くなっています。そんななか注目を集めているのが、高度なセンサとAIを組み合わせて、その人にあった健康管理を実現する技術です。すでにApple Watchなどを使って睡眠時間を測ったり、脈拍数からストレス度をチェックしたりできる機能を使っている人も多いかもしれません。そこからさらに進んで、体の状態をより詳細に常時チェックできるようになれば、病気にかからないよう予防策も取りやすくなると期待されています。

たとえば私の研究室では、身体に貼ったセンサを使って体のpH値などを計測する技術の開発を進めています。知っている人も多いかも知れませんが、人は年齢を重ねると、のどの渇きや暑さを感じにくくなります。若い人でも何かに熱中するあまり、気がついたら脱水症状に掛かっていたという経験のある人も多いのではないでしょうか。体表面のpH値を計測して、普段のその人のデータを組み込んだAIで分析できれば、AIが「水分が足りてないよ。水を飲んで」と警告できるようになります。

またpH値を測ると、ストレス度も判定できます。この技術が実用化できれば、勉強やスポーツ、仕事を頑張りすぎて効率が落ちそうなときに、AIが「気分転換を」と教えてくれるなんてことも実現できると期待しています。それだけでも、人々の生活の質(Quality of Life)の向上にもつながるのではないでしょうか。

ロボットと言うと、産業用の大型ロボットやAIBOなどの可愛らしい人型やペット型のものを思い浮かべる人も多いかもしれません。でも私たちの目の前には、もっと小型な新しいタイプのAIロボットが活躍するそんな未来も来ているのです。