大学院工学研究科機械工学専攻2年次生の吉田駿さん(指導教員=総合科学技術研究所・岩森暁教授)が、昨年11月14日と15日に湘南キャンパスで開催された「SAS 2025シンポジウム」に参加し、優れた内容と独創性のある発表に贈られる「ポスター賞」を受賞しました。SAS(Society of Advanced Science)は、従来の学問分野にとらわれることなく各界が協力して技術の将来を託す学生や若手技術者の育成し、社会貢献を目指して本学を中心に結成された学術団体です。同シンポジウムは自然科学全般にわたる研究発表や独自技術の発表を行うもので、これまでに2700件以上の発表があります。

吉田さんの発表テーマは、「有限要素法を用いた弓状湾曲ローラ表面材質がウェブに与える影響の評価」です。軽量で柔軟なペロブスカイト太陽電池の基材となる高分子フィルムのような薄膜材料は「ウェブ」と呼ばれ、ロール状に巻取ることで大量生産が可能となるRoll-to-Roll(R2R)方式で生産されます。その搬送工程で生じる折れやしわといった不具合は品質や生産性が低下する要因となっています。対策として広く用いられている「拡幅ローラ」は曲率が固定されているため、条件適応には限界がありました。そこで吉田さんは、曲率の可変制御が可能で多様な条件に適応できる「弓状湾曲ローラ」に着目。その表面の材質の違いがウェブに及ぼす影響の解明を目的に、これまで十分に分かっていないしわ解消のための拡幅メカニズムについて詳細な解明を目指しました。
研究成果について、「データの取得や実験の比較検証など大変でしたが、表面材質の違いにより応力分布や摩擦力方向に明確な差があることを確認。弓状湾曲ローラの拡幅挙動制御には、表面材質の粘弾性特定とそれに伴う摩擦力考慮が必要であることがわかりました」と吉田さん。受賞はそうした研究成果について、背景や解析方法、考察などを丁寧にわかりやすくまとめたことが評価されたものです。「他分野の研究者の方々にも理解しやすいよう、先輩方が発表した時のポスターも参考に、画像の使い方や適切な情報量などを検討しました。多様な分野の研究者から質問を受け、大いに刺激になりました。成果とポスターの出来を評価していただき、さらに研究に対する意欲がわきました」と話しています。