大学院生が国際学会「IUMRS-ICEM2014」でベストポスター賞を受賞しました

大学院総合理工学研究科1年次生のモハメッド シュルズ ミヤさんが、6月10日から14日まで台湾で開催された国際会議「International Union of Materials Research Societies – International Conference on Electronic Materials(IUMRS-ICEM)2014」で、ベストポスター賞を受賞しました。この会議は、さまざまな材料をテーマに世界各国の研究者が集 うもので、全ポスター発表のうち上位5%の優れた研究にベストポスター賞が贈られました。今回は約600件の発表があり、シュルズさんは説明能力と内容、 ポスターとしてのわかりやすさが評価されました。

発表したのは、電子材料を中心に幅広い分野での応用が期待され、世界的にも研究が活発になっている二酸化バナジウムを使った積層型スイッチングデバイスに 関する研究成果です。シュルズさんは、工学部電気電子工学科の沖村邦雄教授の指導を受けながら、電気を通す「導電層」上に二酸化バナジウムの堆積と膜面に 垂直な方向への絶縁体―金属相転移特性及び低電圧、低電流でのスイッチングに関する研究を行っています。シュルズさんは、今まで低温(250℃以下)で導 電層上への二酸化バナジウムの堆積と積層方向への相転移特性に成功しました。しかし、350℃~400℃のような高温成膜において下地導電材料の拡散によ り良好な二酸化バナジウムの成長は難しく、実現した例はありませんでした。今回は、高温成膜においての下地導電材料の拡散を抑制するため、二酸化バナジウ ム膜を堆積する前に導電層上に拡散抑制機能を有する導電性窒化チタン(TiN)膜を堆積し、今まで難しかった高温成膜においても良好な二酸化バナジウムの 成長及び良好な相転移特性の実現に成功しました。その結果、0.2V、50μA(消費電力:10μW)の低電圧、低電流でスイッチング特性を実現したもの です。この成果は、今までに報告された二酸化バナジウムを動作層とするプレーナ型デバイスに比べてスイッチング電圧、消費電力が非常に低いものです。

シュルズさんは、「学会での受賞は今回が初めてで、大変うれしく思っています。母国バングラデシュでは、まだまだインフラが整っておらず、将来的に見ても 電気通信関係のデバイスを省電力で動かせる技術が求められています。今後もさらに努力を重ね、いつかは自分の研究成果を社会に送り出し、母国の発展に貢献 したい」と話しています。

大学院生が国際学会「IUMRS-ICEM2014」でベストポスター賞を受賞しました