工学部応用化学科の岡村陽介准教授が、8月26日、27日に東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「イノベーション・ジャパン2015 ~大学見本市&ビジネスマッチング~」(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構、国立研究開発法人新エネルギ-・産業技術総合開発機構)に出展しました。大学が創出する最先端の研究シーズと企業ニーズのマッチングを目指す国内最大規模の展示会で、12回目となる今回は「防災」「医療」などの10部門で、162機関から401件の研究成果が発表され、会期中は企業関係者など約24000名が来場しました。本学からはほかにも理学部化学科の冨田恒之講師の研究室が出展しました。
岡村准教授はライフサイエンス部門に「高分子ナノ・マイクロディスク~新規製造法の提案と医療分野への挑戦~」のテーマでブースを出展。27日にはショートプレゼンテーションも行いました。岡村准教授は、インクや塗装などの広範な工業分野で幅広く利用されている高分子微粒子(ナノ・マイクロ粒子)を、簡便な設備と単純な操作で通常の球体から面状のナノ・マイクロディスクへと変形させる「異形高分子微粒子の製造方法」(特許出願中)について発表。この新しい技術は、粒子同士の接触面を点から面に広げることで、粘度の大幅な上昇と接着性の向上に成功し、ディスク形状特有の面の接触相互作用を活用した新しい担体(他の物質を固定する土台となる物質)として、薬物運搬体や診断材料などライフサイエンス分野への応用が期待されています。岡村准教授は簡単で独創的な手法や、ナノ・マイクロディスクのユニークな特性を解説しながら、ブースを訪れた企業関係者と実用化に向けた技術の活用や応用の可能性について熱心に意見を交換していました。
岡村准教授は、「今回開発した技術は有機溶媒などの有害な成分を使わずに水だけで反応させるため、環境にも優しいことが特徴です。こうした機会を利用して多様な分野の企業の方々と実用化への道を探ることができたのは有意義でした。今後も新しく開発した材料について積極的に情報発信していきたいと思います」と話しました。また、説明を担当した学生は、「他大学や企業の研究にこれほど多く触れる機会はなかなかないので、自分の研究へのインスピレーションや刺激をたくさんもらいました。これからは自分の研究がどういったところで応用されていくかということにも目を向けていきたいと思います」と感想を述べていました。