橋本巨教授が日本機械学会賞(技術功績)を受賞しました

工学部機械工学科の橋本巨教授がこのほど、日本機械学会賞(技術功績賞)を受賞しました。この賞は、技術の研究開発に携わり、その実用化に長年にわたって功績のあった個人に贈られるもので、これまでは企業の技術者の受賞が多く、大学の研究者が受賞するのはきわめて異例です。橋本教授はこれまでにも同学会から論文賞と技術賞を贈られており、今回の受賞により同学会の主要な賞をすべて受賞した初の科学者となりました。

橋本教授は30年以上前に日本で初めて、「ウェブハンドリング」という技術を学術的に提唱。富士フィルムなどと協力しながら、紙や布、薄膜などの柔軟媒体(ウェブ)の効率的な生産方式の研究開発に携わってきました。研究開始当時は技術者の経験に頼る部分が多かったこの分野で、しわやスリップなどが起こるメカニズムの解明や現象を予測する理論モデルを構築。ウェブハンドリングに関する理論を世界に先駆けて体系化し、高機能フィルムの大量生産システムといった新たな適用分野の開拓に尽力してきました。これまでに発表した論文は56編を数え、文部科学大臣表彰科学技術賞をはじめ、13の学術賞を受賞しています。

橋本教授は、「企業の方が多く受賞しているこの賞をいただけたことは、私個人にとっても大変光栄なことです。日ごろから、技術が広く適用されるようになるためには、生産や開発の現場での経験と科学者の目に基づく理論体系がそろっていなければならないと考えており、ウェブハンドリングの分野でそれを実証できたと思います。世界が変わりつつある中、大学は知の分野で光っていくことが重要になっています。私自身、著書などを通してウェブハンドリング技術の啓蒙活動に力を入れながら、さらに新しい分野の研究にも取り組んでいきたいと考えています。熱心に研究を重ねている東海大学の若手の先生方にも今回の受賞を励みにしてもらい、さらに高みをめざしてほしい」と語っています。

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