工学部電気電子工学科では6月14日に湘南キャンパスで、1年次生を対象とした技術者倫理について学ぶ授業を実施しました。社会の中で科学技術が担う責任がこれまで以上に大きくなっていく中、技術者や研究者に欠かせない倫理意識を身につけてもらうことを目的に、導入科目「電気電子工学通論」の一環で毎年行っています。今回は学生約150名が出席しました。
講義は、企業倫理学が専門の谷俊子助教(東海大学教育開発研究センター)が担当。まず、法と倫理が補完関係にあることや、科学技術が社会に与える影響を踏まえながら、「事故につながるような判断も、現場の技術者によって行われている事例がほとんどです。言い換えれば、技術者は事故を防げる可能性を最も持っている立場にあるともいえます」と説明しました。
その上で、技術者は公衆に対する説明責任を負っており、誰も正解が分からない出来事にも自らの判断で立ち向かわなければならず、コストを見極めながら実行可能な範囲でリスクを低減していく意識を持つことが重要であると解説。「技術者は誰もが正解を知らない新しい技術の開発にチャレンジする必要があります。絶対の正解がわからなくても、『これでよい』と思える方法を選んで実行する力をぜひ身につけてほしい」とアドバイスしました。
その後、1986年に発生したスペースシャトル「チャレンジャー号」の事故経過と原因をまとめたドキュメンタリー映画を上映。学生たちは、「時間の制約やプレッシャーにさらされながらも安全を第一に考えるべきだという技術者の基礎を学べました」「自分なりに頭では理解していたつもりでしたが、具体的な事故の事例などを交えて説明してくれたことで、自分がその場にいると仮定しながら技術者に必要な倫理観を見つめなおすことができました」と語っていました。