大学院生がイタリアで開催された混相流の国際会議で研究成果を発表しました

大学院工学研究科航空宇宙学専攻2年次生の永田貴之さんと水野裕介さんが、5月22日から27日までイタリア・フィレンツェで開催された混相流(こんそうりゅう)に関する国際会議「The 9th International Conference on Multiphase Flow (ICMF 2016)」で研究成果を発表しました。混相流とは、気体と固体、気体と液体などが混ざった流れのことで、流体力学や機械力学などと関係が深い学問です。

永田さんは、回転球の周りでおきる空気の流れをスーパーコンピューターによって解析し、回転による※揚力(マグヌス揚力)や渦構造を調査した結果を発表。遅い流れでは回転によって揚力が発生する一方、高マッハ数の流れでは、揚力がほとんど発生しないことを明らかにしました。この結果は、ロケット排気ジェットに含まれる微粒子運動を再現する際に有用な知見になると期待されます。また水野さんは、スーパーコンピューターを用いて、ロケット噴流中に含まれる複数粒周辺の流れを数値流体解析した結果を発表。粒子後流に生成される渦構造や乱流運動エネルギー分布などの、流れ場の特性について報告しました。

永田さんは、「国際会議での発表はベネチア、サンディエゴ、フィレンツェと今回で3回目となりますが、発表会場や懇親会などで国内外の研究者や学生と交流できたことはとても楽しく、刺激になりました。特に今回は”混相流”というとても狭い分野の学会だったため、より深い議論ができたことが収穫でした。今後は高マッハ数の球周りの流れの特性を着実に明らかにし、ロケットエンジンの排気ジェットの解析に適用できる新しい計算モデルの提案を目指していきたいと思います」と話しました。水野さんは、「自分の研究を世界に発信できたことが何よりうれしく、自信になりました。発表後には多くの研究者と意見交換を行い、課題や改善点などを議論することで新たな発見もありました。これからも学会に積極的に参加し、研究成果を発信していきたい」と話しています。

※揚力…流体(液体や気体)の中に存在する板や翼などの物体に作用する力のうち、流れの方向に垂直なもの。飛行機が落ちないのも揚力(主翼に対して上向きの力)の働きによります。

国際会議成果発表 (1)_341.jpg

国際会議成果発表 (2)_341.jpg

国際会議成果発表 (3)_341.jpg