大学院工学研究科の大学院生が日本地球惑星科学連合大会で学生優秀発表賞を受賞しました

大学院工学研究科航空宇宙学専攻修士課程2年次生で三宅亙教授の研究室に所属する坂本優美花さんが、5月22日から26日まで千葉県の幕張メッセで開催された日本地球惑星科学連合大会で、「学生優秀発表賞」を受賞しました。公益社団法人日本地球惑星科学連合が主催するこのイベントは、世界各国から地球惑星科学の研究者や学生が集う研究大会です。坂本さんは、宇宙惑星科学セクションの部で「スポラディックE層内の電子温度減少に関する数値的検討」をテーマにポスター発表。研究目的と結果の明瞭さ、発表の論理構成、当該研究分野の発展への貢献度などが評価され、7月に「学生優秀発表賞」の受賞が発表されました。

スポラディックE層は上空100㎞付近に突発的に発生する電離層で、FMラジオ放送や市町村の防災無線などを混信させる要因となっています。坂本さんは、本学工学部航空宇宙学専攻の4年次生の春に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスの太陽系科学研究系のグループに技術研修生として所属。東京大学をはじめ全国から集まった学生や研究者に囲まれ、スポラディックE層に関する独自の研究に取り組みました。「トップレベルの能力を持つ学生の中で研究することは、刺激になると同時にプレッシャーでもありました。でも、“根性と努力しかない”と考えて研究を続けました」と話します。その成果が実り、従来は解析することができなかったスポラディックE層内の電子密度や温度を高い精度で解析するプログラムを確立。今大会では、この結果をさらに発展させた、密度や温度が変化する原因や関係性の数値計算の結果を発表しました。

「発表当日はとても緊張しましたが、広大なスペースに多数の研究発表のポスターが掲示されている中、“あなたの研究発表に興味があって来た”と言ってくださる方もいて、励みになりました。審査員からの質問には自信を持って的確に答えられたと思います」と振り返る坂本さん。発表の時間中は、ひきもきらずに企業や大学の研究者が訪れたといいます。「多くの研究者とディスカッションできるのも学会発表の魅力。意見を交換することでさまざまな気づきがあり、研究をさらに充実させる機会でもあると考えています。受賞の知らせを受けたときは、3年間の努力が報われたと思いました。熱心に指導してくださった三宅先生をはじめ、JAXAのスタッフや研究者仲間に心から感謝しています」。

坂本さんは、高校時代に訪れたアメリカ・フロリダ州にあるケネディー宇宙センターのロケット発射台に魅せられ、「宇宙について学びたい」と東海大学に進学。1年次生のときからチャレンジセンター「東海大学学生ロケットプロジェクト」に所属し、仲間とともにロケットの打ち上げに臨むなど、「宇宙一筋」の学生生活を送ってきました。「大学、大学院を通じて、研究の厳しさと楽しさを学びました。今、携わっている宇宙物理学の研究は、新たな知見を得るための小さな一歩かもしれません。でも、将来必ず役に立つと信じています」と語り、現在もJAXAの特別共同利用研究員として研究を続けています。修了後は、人工衛星のソフトウエア開発に携わることのできる会社に就職する予定の坂本さん。「人生の最後に“自分の人生は宇宙だった”と言い切るのが目標です」と目を輝かせていました。

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