大学院生が日本画像学会年次大会でベストポスター賞を受賞しました

大学院工学研究科光工学専攻2年次生の鈴木慎之助さんが、6月8日から10日まで神奈川県の東京工業大学で開催された「第117回日本画像学会年次大会」で、ベストポスター賞を受賞しました。同学会は、プリンタやデジタル印刷などのマーキング技術をはじめ、電子ペーパー、3Dプリンティング、デジタルファブリケーション技術などの基礎研究や実用技術の発展を目指すものです。今大会は「Imaging@Life」をスローガンに、3日間にわたり電子写真、新規イメージングなど12分野で口頭発表とインタラクティブ(ポスター)発表が行われました。ベストポスター賞は、研究発表の中でも特に優秀なポスター発表に対して贈られるものです。

鈴木さんが受賞したのは、高速回転スクリーンによる残像効果により、裸眼で全方位から見ることができる体積型立体表示方式の研究成果です。近年、3次元の表示技術が多様な分野で応用されていますが、その大半は専用メガネなどを利用した両眼視差方式であり、物体が飛び出す感覚はあるものの、全方位から立体的に見ることはできませんでした。鈴木さんは、回転テーブル上に中心からの距離を変えて複数の小型スクリーンを配置。プロジェクターからスクリーンに高速照射すると同時にテーブルを高速回転させ、その残像効果によって立体像を形成することに成功しました。さらに、スクリーンを連続した1枚の渦巻き状にすることにより、原理上は無制限の断面像を投影することを可能としました。
実験では、立体像の見やすさと、スクリーンの目立ちにくさの2点を課題として、さまざまな照度下で被験者に評価させ、立体像視認性の室内照度に依存性を定量的に明らかにしました。

鈴木さんは、「本研究では、比較的簡単な装置によって映画などにでてくるような立体的な映像表示を実現させることが目標でした。学部生時代からこの研究を始め、他学会でも何度か挑戦してきたのですが、最終選考で落選するなど悔しい思いをしてきました。今回はこれまでの反省点を生かして研究を精査し、賞をとることを目標に頑張ってきたため喜びもひとしおです。今後は、静止画表示の現状に対して動画化を目指して研究に励みたい」と話しています。

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