航空宇宙学専攻の大学院生がドイツで開かれた国際学会で研究成果を発表しました

大学院工学研究科航空宇宙学専攻2年次生の永田貴之さんと久慈佳祐さん(指導教員=福田紘大准教授)が、9月19日から24日までドイツ・ロストックで開催された国際学会「7th International Conference on Vortex Flows and Vortex Models(第7回渦流れ・渦モデル国際会議)」で研究成果を発表しました。この学会は渦流れの解明やその応用に関する研究を中心に議論を行うための国際会議で、永田さんと久慈さんはいずれもオーラルセッションで発表しました。

永田さんは、ロケットエンジンの排気ジェットから発生する音響現象をシミュレーションする研究成果を発表。ロケットの打ち上げ時には轟音が発生しますが、ロケットエンジンを発火させる際に燃料に含まれる微粒子により音が小さくなるだけでなく、打ち上げ時にロケット排気ジェットに水を大量にかけることで音を小さくすることができることも各国のロケット開発を通して知られています。しかしながら、そのメカニズムは世界的にまだ解明されていません。今回の発表では、音響現象を正確に再現するため粒子の影響を直接的にシミュレーション可能な技術とその解析結果について発表しました。
一方、久慈さんは、物体が「非定常」の状態で運動を行う際にどのような空気力が発生するかについての研究発表を行いました。このような現象は実験で再現し解明することは難しいことが知られていますが、今回の国際会議では、シミュレーションが可能な技術と正確な理解が難しいとされてきた非定常状態で物体を加減速させた際の詳細な特性に関する研究成果を発表しました。

永田さんは、「今回は部門ごとに分かれていないシングルセッションだったので、普段聞くことのできない分野の研究についても知れました。流体の研究に携わっているさまざまな国の人と意見交換できたのは大きな成果だったと思います。東海大学では学生にも積極的に学会発表の機会をもらえ、実際に学会に向けて準備をすることで、研究がはかどる面もあります。自分自身を世界の研究者や技術者にアピールする機会にもなります」とコメント。久慈さんは、「実際に物体を使った実験を行っている人からシミュレーションの研究者まで、幅広い人たちと直接話ができたことで、とても勉強になりました。今回は空気の渦に特化した学会だったので、これまで悩んでいたことにも多くのヒントが得られました。航空宇宙学科は、人工衛星や衝撃波など航空と宇宙にかかわる幅広い分野が学べるのが魅力だと思います。異分野の研究から学ぶことも多く、専門以外の部分もしっかり身につけることで、将来エンジニアとして働く上での土台ができると感じています」と話しています。