応用化学科・淺香教授の「ひらめき☆ときめきサイエンス」が日本学術振興会のプログラム事例紹介に選ばれました

工学部応用化学科の淺香隆教授が昨年度に実施した小学生向けの科学実験講座「食品を『カガクの目』で見る 〜お菓子のカガク変化を探る!〜」が、日本学術振興会が開設している「ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜KAKENHI」※のホームページで事例紹介の一つとして取り上げられました。

一般的に、病院の入院患者や高齢者など固形の食事を摂れない人向けに、粘度をつけたペースト状の食事が提供されていますが、えん下(食物を飲み込む)機能の低下などにより食事が肺に入ってしまう「誤えん」が起きてしまう問題があります。こうした課題の解決を目指し、淺香教授は科学研究費補助金の採択を受けた「高齢者をはじめとする摂食・えん下障がい者を対象とした栄養剤の半固形化」の研究で、医学部付属病院の医師や管理栄養士、工学部医用生体工学科の菊川久夫教授らと協力し、栄養剤の種類に応じて適切な粘度をつける化学物質の研究に取り組んでいます。

昨年8月10日に行った科学実験教室では、このような研究の一端を体験してもらう実験を行いました。最初に知育菓子を使って色や食感の変化を確認。その後、講義を交えながら、ジャムに重曹を加えて色の変化を見た後、クエン酸を加えて発泡させる実験に取り組みました。さらに、胃内で凝固する粘度可変型栄養剤にも用いられているアルギン酸ナトリウムを使って人工イクラを作り、大学の研究でも使われている評価装置で食感を調べる実験も行いました。実験の合間には、さまざまな現象が起きる仕組みやこれらの化学反応が食品や医薬品に用いられていることを解説しました。

淺香教授は、「この科学実験講座では、普段は知る機会の少ない大学の研究成果が実は身近なところで生かされていることや、化学反応の可能性を楽しみながら学んでもらえるよう工夫しました。研究の面では今年度からも科学研究費補助金の採択を受け、患者さんの病態に合わせたオーダーメイドの栄養剤の開発にも取り組んでいます。工学は人の役に立つためにある学問分野であるという考えを大切にしながら、一人でも多くの患者さんとご家族の役に立てるよう研究を続けていきます」と語っています。

なお本学からは、同じく昨年度に実施した観光学部観光学科・小澤考人准教授による「和菓子文化の魅力って何だろう?東京オリンピックで日本文化を世界に発信しよう!」も紹介されています。

【学術振興会サイト】
http://www.jsps.go.jp/hirameki/09_kufuu.html

※「ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜KAKENHI」
大学や研究機関で、科学研究費助成事業の支援で生まれた研究成果の社会還元や普及推進を目的に、小学校5、6年生や中高生を対象に行われている体験型プログラムです。昨年度は、161機関で330件が実施され、児童生徒と引率教員・学校教員約9500名が参加。その中から特に優れたプログラム50件が上記サイトで紹介されています。

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