工学部・杉本教授が手掛けた木造体育館が「平成29年度木材利用優良施設」として表彰されました

工学部建築学科の杉本洋文教授が設計した奈良県五條市の上野公園総合体育館「シダーアリーナ」が平成29年度木材利用優良施設(主催=木材利用推進中央協議会、後援=農林水産省)の木材利用推進中央協議会会長賞を受賞しました。同賞は、木材利用の促進などに寄与する施設を表彰するもので、今年度はシダーアリーナのほか8件が選ばれました。7月31日には東京・江東区の木材会館で表彰式が行われ、五條市の大田好紀市長や杉本教授、施工業者らに表彰状が授与されました。

シダーアリーナは、奈良県内で生産されるスギやヒノキを使って地元の企業が建設する「地材地匠」をコンセプトに設計。一般住宅にも広く用いられている集成材を主要部材に使い、接合部に軽量鉄骨と鉄を組み合わせて日本で初めて50mスパンの開放空間を持つ大型公共施設を実現しました。建物は2階建てで、1階部分の壁と床にもスギ材をふんだんに使用。2階の壁には木材チップとコンクリートを混ぜた「木合セメント板」を用いて防火・防音効果を高め、観客席のベンチにも奈良県産のヒノキ材も用いています。

杉本教授は、「現在、日本の森林資源は豊富であるにもかかわらず、利用率も低く積極的に活用する技術も欠けていました。シダーアリーナはその課題を地域の力を結集して解決し、できる限り汎用性の高い技術を使って公共建築をつくり、木材の利用促進につなげることを目指して設計しましたが、行政や建設業者、木材加工業者など多くの方々の協力があって実現したものだと思っています。また、構想段階から研究室の学生たちも参画し、彼ら自身も大きく成長してくれました。現在このほかにも、小学校の校舎や公民館などを木造でつくるプロジェクトにかかわっており、一般のニーズも高まってきています。今後は商業施設などにも利用の幅を広げ、木造建築の可能性を高めたい」と話しています。

なお9月には、杉本教授の著書「キヅカイのケンチク」が東海大学出版部から刊行されます。同書では、杉本教授がこれまで手掛けてきた作品などを通して、木造建築の可能性や将来像を紹介しています。

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