伊勢原市大山地区で手作りハザードマップ作成研修と防災講話を実施しました

工学部土木工学科では3月4日と6月3日に、伊勢原市の大山地区で手作りハザードマップ作成研修と防災講話を実施しました。同地区の住民の防災意識向上を図り、激甚災害発生時の減災につなげようと伊勢原市からの依頼を受けて実施したものです。

3月4日の研修では、本学科から梶田佳孝教授と杉山太宏教授、学生5名が参加。大山地区にある5つの自治会の役員や消防団の団員、住民らとともに、災害発生時に応急的に避難できそうな場所や危険個所などについて意見を出し合い、地図にプロットしていきました。話し合いでは、1923年の関東大震災発生時をはじめ、過去に起きた災害の記憶を住民が学生に披露する場面もあり、参加者からは「最初は”危険な場所はもうわかっている”とも思いましたが、意見を出し合う中で思わぬ発見も数多くあった。こうした取り組みの重要性を知れたことが大きな収穫」といった意見が聞かれました。

その後、研修の結果をまとめた地図をもとに本学科の学生たちが各自治会のハザードマップを作成。6月3日に地区の土砂災害対策訓練に合わせて実施した防災講話では、学生が作った地図を使ったワークショップを行いました。最初に杉山教授が、大山地区の地盤や土砂災害の危険性、最近の傾向などを解説。続いて梶田教授が、住民自らが参加して地域ごとに詳細な防災マップを作ることの大切さや活用方などを説明しました。その後、各自治会の住民が防災マップを見ながら、安全な避難経路などについて意見を交わしました。

参加した柴尾彩弥加さん(4年次生)は、「まちづくりや防災に興味があったので参加しました。住民の方々と話す中で、住民同士が密に話し合うことの重要性を実感し、学生に何ができるのかを考えるよい機会になりました。卒業後は都市整備関連企業に就職するので、この経験を生かして、高い防災力を持つまちづくりに貢献したい」とコメント。佐藤美月さん(同)は、「地域住民同士が日常的にコミュニケーションを取れている様子を見ることができ、こうした土台が災害時の協力には大切なのだと実感しました。3月のマップづくりの際には住民の皆さんの意見をまとめる役を体験するなど将来につながる経験ができたと思います。また住民の方々が杉山先生や梶田先生の講話を熱心に聞いている姿を見て、専門家の果たす役割の重要性も実感しました」と話していました。

企画運営を担当した梶田教授は、「国や地方自治体が作成したハザードマップも配布されていますが、自治会といった地区ごとの詳細なデータを掲載することはできません。しかし、実際に災害が発生したときに最も重要になるのはそうした細かいデータであり、それらの情報を日常的に共有しておくことが本当の意味で災害に強いまちづくりへの第一歩になると考えています。まちづくりや地盤工学など土木の専門領域を生かし、本学科として今後も安心安全な地域づくりに貢献していきたい」と語っています。

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