平成30年度東海大学望星技術士会の第3回講演・交流会が、12月1日に湘南キャンパスで開かれました。技術士は、科学技術に関する高い専門的応用能力と高い技術者倫理を備えている人物を認定する国家資格です。望星技術士会は、技術士の資格を有する本学の卒業生による有志団体で、吉田一也副学長(研究担当・工学部教授)が会長を務めています。今回の講演・交流会は、技術士を目指す学生たちに資格ついての情報を提供し、会員との親睦を深めることが目的で、学生と会員・教職員ら約80名が参加しました。
開催にあたっては吉田副学長が、「学生の皆さんは、是非、望星技術士会と言う名前を覚えてください。技術士は社会で活躍するエンジニアにとって国内トップレベルの資格の一つです。将来、技術士を受験して一次試験を合格できても二次試験を突破することは困難です。そんな時こそ、望星技術士会を頼ってください。」とあいさつしました。
続いて、望星技術士会副会長代表の神藤典一氏が、「技術士と望星技術士会の設立趣旨」と題して講演。「技術士の設立には、松前重義博士(当時逓信省総裁、本学創設者)と篠原登博士(当時初代科学技術事務次官、本学学長)が技術士法制定に貢献しました。本学は全国の大学の中で一次試験合格者12位だが二次試験は38位とまだまだ合格者が少ないのが現状です。」と述べ。続いて、工学部光・画像工学科の前田秀一教授が、「技術士一次試験の受験に必要なこと」と題して講演。「技術士に取得するために一次試験(筆記試験)と二次試験(口述試験)の構成で試験があって、一次試験の合格には学生の”今”が大切、大学での勉強をしっかりやること。そして、過去問を解くこと。」とアドバイスが送られた。続いて、工学部動力機械工学科の長谷川真也准教授が、「熱で発電、熱で冷凍可動部品を持たないエンジン熱音響機関」と題して講演。資源枯渇問題を緩和・解決するためには捨てている熱エネルギーの再利用が切望されている今、可動部分を持たない熱音響機関を実験を通して解説しました。続いて、老舗旅館女将の宮﨑知子さんが、「IoTを駆使したおもてなし」と題して講演。東海大学前駅の隣駅、鶴巻温泉にある老舗温泉旅館の「元湯陣屋」は、2009年に借金10億をかかえて存続の危機にあった老舗旅館、身内の不幸から急きょ、OLから4代目陣屋旅館女将として跡を継ぐこととなった。顧客・営業情報もデータがない状況から自社開発のクラウド型旅館管理システム「陣屋コネクト」を導入することで2年後には2億円台まで回復して黒字へ転換。経営のみならず、技術的な要素も交えた講演が行われた。
講演後の交流会では、技術士の仕事や勉強のほか、苦労した話など、会員と学生が熱心に語り合いました。学生たちからは、「技術士資格は博士と比べるとどう違うのか」や「動力機械工学科の私は技術士では分野になるのか」、「データがないところからクラウド化することで苦労したことは」などといった声が聞かれました。