大学院生の五十嵐さんがアメリカ機械学会でベストプレゼンテーション賞を受賞

大学院工学研究科応用理化学専攻2年次生の五十嵐魁さんが、8月4、5日にオンラインで開催されたアメリカ機械学会主催の国際会議「ASME ‘ s Nuclear Engineering Conference」の学生コンペティションで、ベスト・ビデオ・プレゼンテーション賞を受賞しました。このコンペは論文審査を経て選抜された全世界から60名の学生が参加し、研究発表の内容などを競うものです。全体の最優秀論文賞のほか、北米地区、ヨーロッパ地区、中国地区、日本+アジア地区の各地区ごとに1名ずつベストペーパー賞と同賞が選ばれ、五十嵐さんは日本+アジア地区から参加した学生の中での受賞を果たしました。

五十嵐さんは、次世代型の原子炉として期待されているナトリウム冷却高速炉(SFR)の安全性を確保するシミュレーションコード:SIMMERの精度を検証する研究に取り組んでいます。今回の発表では、溶融燃料が冷却材内に流入した際の燃料の固化挙動や温度変化についての模擬実験を対象として解析モデルの妥当性を確認、溶融燃料を模擬した融体が冷却材中の平板へ落下した際には落下地点から半径50mm~100mm程度の範囲で微細化して固化することを明らかにしました。7月から10月までは、日本原子力研究開発機構の特別研究生として茨城県の大洗研究所に滞在しています。

五十嵐さんは、「受賞できたことで、自分が積み重ねてきた研究が外部から見ても価値があり、間違っていなかったと確認でき、うれしく思っています。SFRは実用化に向けて研究開発が進められている技術で、だからこそ事故を正確に解析できるシステムを作り、安全を担保する必要があります。実現する可能性の高い技術の開発にかかわれていることにやりがいを感じています。また、日本原子力開発機構には大学3年次生の時に実習に参加させていただいてからずっとお世話になっていますが、世界トップレベルの環境から学べることは多く、研究を充実させるためにも大きなアドバンテージになると感じています。大学院修了後は企業に勤めながら炉心解析の仕事を続けます。これからもこの研究を継続して専門性を高めるとともに、原子力分野に欠かせない広い視野も身につけ、いつかはSFRの稼働にかかわりたいと考えています」と話しています。

(写真提供:日本原子力研究開発機構)