大学院工学研究科機械工学専攻の学生3名が日本機械学会の卒業研究コンテストで受賞しました

2019年9月9日に秋田市で開催された日本機械学会年次大会機素潤滑設計部門の第25回卒業研究コンテストで、佐藤喜昭さん(指導教員=工学部機械工学科・甲斐義弘教授)と小谷晋平さん(指導教員=同・落合成行教授)が最優秀発表賞を受賞し、菊池日向さん(同)が優秀発表賞を受賞しました。このコンテストは、全国の機械系学部の学生が4年時に行った卒業研究の成果を発表し、研究内容や予稿集原稿の完成度、質疑応答の的確さなどの観点から、優れた発表が表彰されるものです。

機械的な機構によってロボットなどの暴走を防ぐ安全装置を研究している佐藤さんは、甲斐教授の研究室が長年研究してきた制動装置の小型化に成功した成果を発表しました。ロボットでは一般に電子制御による安全機構が用いられていますが、この場合電気信号の乱れや断線などによって制御ができなくなる危険性があるため、一定以上の速度になるとロボットにブレーキをかけ、停止させる機構を開発しました。

佐藤さんは、「甲斐教授の研究室では、皆が協力して一人ではできない研究に取り組む一方、海外の大学に研究留学する学生もいるなど、互いを高め合い、成長できる環境にあります。今回発表した研究では、まだ1方向の動きしか制御できていないため、前後2方向も制御できるように取り組んでいきたい」と話しています。

小谷さんは、自動車のターボチャージャーなどに使われている浮動ブッシュ軸受を研究しています。この軸受は、大きな円筒の中に小さな円筒を入れ、その間を油膜で覆っており、高速回転すると安定する性質を持っています。しかし、そうした性質を持つ理由がわかっていなかったため、小谷さんは湘南キャンパスのイメージング研究センターにあるX線CT装置を使って駆動中の油膜の状態を可視化する方法を確立。そうして観察した結果を発表しました。

菊池さんは、航空機のエアコンやガスタービンの回転部に広く用いられているガスフォイル軸受の技術を研究。空気軸受けは、2重になっている円筒部品同士が向き合う面に刻む溝の構造を工夫すると空気の流れが変わり、より高い性能を発揮できることが分かっています。菊池さんは新しい溝の形状を提案し、その特性を検証した結果を発表しました。

小谷さんは、「昨年頑張った努力が評価されたことをうれしく思います。研究室は先輩や仲間と切磋琢磨する中で自然と高い基準の研究成果が残せる環境であり、学会?発表や論文執筆の機会が多いことが成果につながったと思います。学会での発表では、企業の方のニーズが高いことも分かったので、今後は理論的な解析に生かせるようなデータの収集を続けたい」とコメント。菊池さんは、「落合教授の研究室は、研究には真摯に向き合う姿勢が求められる一方、実験のスケジューリングなどは学生の自主性に任されているため、自分のペースでメリハリをつけて取り組めていることが私には合っていると感じています。今後は、数学などを使った理論的な分野の学びも深めていき、実験と理論解析の両方ができるエンジニアになりたいと考えています」と語りました。

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