大学院工学研究科の安間さんが「SDGs学生カンファレンス」で講演しました

大学院工学研究科応用理化学専攻1年次生の安間有輝さん(指導教員=材料科学科・高尻雅之教授)が、11月24日にオンラインで開催された「SDGs学生カンファレンス」(主催:マイナビ学生の窓口、環境省)で講演しました。学生や大学院生が環境問題を交えて日ごろの活動について発表し、国連が掲げる持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」を身近に感じてもらうことを目的に実施されている催し。安間さんをはじめ、中部大学や千葉大学、岐阜聖徳学園大学、千葉商科大学、京都大学の代表者がそれぞれ講演し、学生や関係企業の社員ら約70名が聴講しました。

安間さんは「持続的なクリーンエネルギーの供給に向けて~廃熱を電気にする材料の開発~」と題して研究成果を発表しました。日常生活の中で生じる温度差を利用して発電できる仕組み「熱電発電素子」に注目。2種類の金属を組み合わせて温度差を生み出すことで、金属間に電気が発生する「ゼーベック効果」を活用し、身の回りで発生する廃熱を電気に変えて利用するクリーンエネルギーについて解説しました。また、熱電発電素子の材料は希少金属が主流となっていることを説明し、高額で流通が困難な現状であることや、毒性が含まれるために用途が限られてしまうことについても言及。現状を打開する有効な策として期待されている「カーボンナノチューブ(CNT)」は希少金属より持続的に活用できることや、毒性も少なく柔軟性にも優れているといった利点を説明しました。一方で、熱電発電素子は限られた環境下の廃熱利用だけでなくさまざまな用途で利用可能ですが、性能の安定性が確立できていないという課題を提示しました。

「講演する学生の大半が文系でしたが、講演後には“別の視点でSDGsの捉え方があるのか”と興味を持っていただけてうれしかったです。オンラインではありましたが、大人数の前で自分の研究を専門外の人を対象に発表する貴重な経験ができ、講演会への参加を勧めてくれた高尻先生に感謝しています。今後は、希少金属を用いた熱電発電素子の性能向上をはじめ、希少金属の代わりになる他の材料も模索していきたい。マイクロプラスチック問題をはじめとした環境問題解決に研究技術が応用できないかも考えていく」と語っています。

指導に当たる高尻教授は、「自身の研究を『誰にでもわかるように説明する』のは、とても難しいことです。安間君の発表は言葉だけでなく、図やイラストを使って視覚にも訴える工夫をしていました。講演会の参加後は、これまで以上に自主的に研究に励むなど、意欲が高まったように感じています」と話しました。