機械工学科の窪田講師が天田財団「重点研究開発助成課題研究」に採択されました

工学部機械工学科の窪田紘明講師がこのほど、公益財団法人天田財団「2022年度前期 研究開発助成」の「重点研究開発助成課題研究」に採択されました。同助成は技術動向や社会情勢のニーズを重点研究課題として顕在化させ、独創的、革新的な研究に対して贈られるもので、窪田講師は2019年度に「奨励研究助成(若手研究者)」に採択されています。今回は「強制潤滑ハイドロフォーミングの実用化に向けた研究」のテーマで採択され、昨年12月3日に東京都・日比谷図書文化館で開かれた天田財団助成式典で助成金目録が贈呈されました。

窪田講師は、自動車などの材料となる鉄の管(チューブ)の高強度化を実現させるために、加工技術の開発に取り組んできました。板状の鉄鋼材料をプレス成形し、溶接して組み立てる一般的な方法は工程が多い上に重さが増します。そこで窪田講師はチューブを金型に入れて水圧で膨らませる「ハイドロフォーミング」に着目。これまでの手法はチューブと金型の間に摩擦が生まれ、材料が割れやすいという課題から自動車部品などの高強度の材料には使われていませんでしたが、チューブと金型の間に強制的に潤滑剤を注入することでその課題を解決し、特許も出願しました。今回の助成を受け、3年をかけて実用化に向けて取り組んでいきます。

具体的には、初期投資を抑えるために既存のハイドロフォーミング装置に組み込んで潤滑剤を注入するユニットの開発、部品の形状に合わせて潤滑剤圧力や潤滑油の量などを調整するシミュレーション技術の開発、潤滑剤を注入するタイミングや位置を変えることで板厚を自在にコントロールできるかを調べ、「内圧」「軸押し」に加え「潤滑剤圧力」を第3の制御パラメータとして検討する、3つの課題に取り組みます。窪田講師は、「この技術が実用化されれば、車体が軽くなるため燃費がよくなり、強度が高い材料を使うことでより安全な車体が作れます。将来的には航空機や医療機器などへの応用も期待できます。研究室に所属する工学部生と大学院工学研究科生の協力も得て実用化に取り組んでいきます」と意気込みを語っています。