第2回人間環境オープンセミナー「なぜ食が必要なのか?―パタゴニアの新たな取り組み―」を開催しました

教養学部人間環境学科自然環境学課程では6月20日に湘南キャンパスで、2018年度第2回人間環境オープンセミナー「なぜ食が必要なのか?―パタゴニアの新たな取り組み―」を開催しました。大学院人間環境学研究科との共催でFD(Faculty Development/授業改善)研修企画として3回連続で実施しているこのセミナーは、各分野で活躍している方々の話を聞くことで教員の授業の質の向上を図るとともに、学生の視野を広げることを目的としています。今回はパタゴニア日本支社パタゴニア プロビジョンズ・マネージャーの近藤勝宏氏を講師に招き、学生や教職員、地域住民ら約200名が参加しました。

近藤氏は最初に、パタゴニアが展開しているアウトドア衣料の事業概要について紹介。過去にボストンの店舗で発覚したコットン製品に使用された化学薬品(ホルムアルデヒド)による店員の健康被害を受け、販売する衣料品の原材料がどれだけ環境に負荷を与えているかを調査し、その数年後にはすべてオーガニックコットンにするなど、これまでパタゴニアが実施してきた企業活動についてクイズを交えながら語りました。また、バングラデシュのアパレル縫製工場で起きた崩壊事故を例に挙げ、「この工場は世界でも有数のブランドの衣料品をつくる工場でした。今自分が着ている服が、どこの国でどんな人が作っているか考えてみたことはありますか? 現代の大量生産・大量消費のビジネスモデルは、環境のみならず社会的にも大きな歪みを生み出してしまっています」と提言。衣料品事業と同様の目的で環境課題の解決、回復のために始めた食料品事業(パタゴニア プロビジョンズ)についても製品を交えて紹介しました。近藤氏は、「人々の生活に食は欠かすことができません。本気で地球環境を変えたいならその食の作られ方や流通のされ方、そして消費のあり方が変わらなければなりません。これからを担う若い世代の皆さんが、今後どういった選択をしていくかに地球の未来はかかっています。皆さんの選択がどことつながっているのか、日常の中で少しでも想像力を働かせてみてください」と語りかけました。参加した学生からは、「製品の安さばかりに目をむけるのではなく、社会や環境に配慮した製品を選ぶようにしたい」「これから自分が何かを買うときに、その製品がどのようにつくられていて、品質、値段に見合ったものかを吟味して選んでいきたい」「ものを買うときに、つくってくれた人に感謝したいと思う」「自分のやりたい仕事、自分のしていることに嘘偽りなく活動している近藤さんの話を聞いて、自分もこのようになりたいと思った」といった感想を述べていました。

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