芸術学科公開講座「トランスディシプリナリティとインターメディアのインスピレーション―サウンドクリエーションへの応用」を開催しました

教養学部芸術学科では7月6日に湘南キャンパスで、公開講座「トランスディシプリナリティとインターメディアのインスピレーション―サウンドクリエーションへの応用」を開催しました。今回は、学生やキャンパス近隣住民が国際的な最先端の音響芸術の実践に触れる機会を提供しようと、本学科の檜垣智也准教授が専門とする電子音響音楽に特化した多元立体音響装置「アクースモニウム」を用いる作曲家のヴァンサン・ロブフ氏(ヴィルールバンヌ音楽・舞踊・演劇学校教授、Futura/Motus芸術監督)とポール・ラマジュ氏(パリ地方音楽院およびパリ・ブローニュ=ビヤンクール高等芸術教育センター教授)を講師に招聘。両者と長年親交がある檜垣准教授と研究室に所属する学生たちが企画・運営し、学生や一般の方など約110名が参加しました。

初めに芸術学科長の富田誠教授があいさつに立ち、「私自身はデザインを専門とし、視覚的な対話を通じて、異なる専門や立場をつなぐことに関心を持ってきました。そういった意味でも、分野の枠をこえて一つの作品を創造する“トランスディシプリナリティ”というテーマはとても興味深いです。東海大には日本で最も多くの学科があり、芸術学科はさまざまな知識や経験を結びつける学際芸術がコンセプトになっています。本日の講座が学生の皆さんや教職員、そして一般の方々にとって、芸術と音楽の可能性をあらためて考える機会となることを願っています」と話しました。

続いてラマジュ氏が登壇し、自身の経歴や作品について紹介。「共同制作とは、単に異なる分野の人が集まり一つのものを作り上げることではなく、他分野の考えや共同するうえでの変化を受け入れ、対話することが重要となります」と語り、従来の分野別の創作活動から、音や映像、舞台美術などが融合した作品の例を挙げ、制作工程での難しさや構成のポイントを語りました。ロブフ氏は、自身が制作に携わった作品から、分野をまたぐ仕事の考え方が大きく異なる2つの例を挙げて紹介。「私にとって分野をまたぐ創作とは、複数の分野を1つのプロジェクトにまとめることではありません。それは創作の方法そのもの。音楽は、ほかの芸術形式と対話しながら作られ、場所、テキスト、イメージ、技術的な装置とも関係します。それぞれの要素が互いに影響しない対話の中で、作品が少しずつ変化していくのです」と語り、過去の制作を振り返ってポイントとなる部分を一つひとつ解説しました。講演後は、ラマジュ氏作曲の『Romance is a ticket to paradise』とロブフ氏作曲の『Noumènes』、また電子音楽黎明期を支えた作曲家であるピエール・アンリ氏作曲の『Prismes』を演奏。研究室の学生が設営した23台のスピーカーから、サウンドスケープや環境音などを組み合わせた荘厳な音楽が流れ、学生たちは目を閉じ曲の世界観に浸りました。

ラマジュ氏とロブフ氏は、「電子音響音楽の作品は普段あまり聴く機会がないと思いますが、既に知っている知識と関連づけながら作品に触れる経験はとても大切であり、そうした思考のプロセスが学習の駆動力となるでしょう。また、音楽は演奏するだけではなく、コンサートの企画や運営、作曲など、包括的に携わることが大切です。私たちもこれまでさまざまな経験を経て、小さなコンサートホールから歩みを進めてきました。学生の皆さんには夢に向かって突き進み、恐れず積極的に挑戦していってもらいたい」と語っていました。