教養セミナー「今考えたい『サスティナブル(sustainable)』『エシカル(ethical)』とは~持続可能なライフスタイルの実践を考える~」を開催しました

教養学部SOHUMアースミュージアムプロジェクトでは12月10日に、相模原市・ユニコムプラザさがみはらで教養セミナー「今考えたい『サスティナブル(sustainable)』『エシカル(ethical)』とは~持続可能なライフスタイルの実践を考える~」を開催しました。このプロジェクトは、本学部の学生が専門能力を生かして協働しながら、それぞれが役割を担い、社会的な課題を解決する行動力を磨くものです。今回のセミナーは、ウクライナの伝統的な「刺繍文化」の素晴らしさを知るとともに、文化や作品、原材料(オーガニック)の「サスティナブル」と「エシカル」消費を考え、つながり、協力・協働の可能性を探ることを目的に企画したものです。当日は、本学部の学生有志や刺繍・綿に関心を持つ一般参加ら約30名が参加しました。

開会にあたり本学部の岩本泰教授があいさつし、「今年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻を受けて、この問題をどのように受け止め、学びを深めていくか考えてきました。教養学部は『人と文化』を学ぶコースですので、ウクライナの刺繍文化を通して、持続可能性やウクライナへのこれからの協力・協働・共生について考えていければと思い企画しました」と話しました。続いてウクライナ出身の刺繍愛好家であるイリナ・べトロワ氏が「今考えたい、ウクライナの文化と手刺繍世界の魅力」と題して講演。ウクライナにおける刺繍の歴史や模様を紹介するとともに、自身が刺繍を始めた経緯を紹介し、「祖母に教わって私は4歳から刺繡作りを始めました。刺繍の方法は地域によってさまざまで300種類以上あると言われており、模様に関しては数えきれないほどあります。伝統衣装である『ソロチカ(sorochika)』に刺繍することが多いですが、それを普段のファッションに取り入れて着る人やバッグに刺繍する人など、ウクライナ人にとって刺繍はとても身近な存在です」と話しました。

また、Textile Exchangeアジア地域アンバサダーを務める一般社団法人 M.S.I.の稲垣貢哉氏が「オーガニックコットンについて考える」をテーマに講演。オーガニックコットンの普及率について説明し、「全綿花製品の中でオーガニックコットンは1.4%と言われており、まだまだ普及していません。ですが、生産数が近年徐々に上昇傾向にあり、今後普及が進んでいくと考えられます」と話しました。また、綿花の生産数世界1位を誇るインドの農家における製造方法や環境への配慮についても解説しました。続いて、株式会社イケヒコ・コーポレーション品質保証部の古賀義政氏が、同社の畳表に使われているイネ科の「い草」の相続に向けた活動・イベントなどを紹介するとともに、近年力を入れているこたつ布団や座布団などオーガニックコットンを用いた新たな商品開発について説明しました。

講演後は、べトロワ氏の指導のよる刺繍ワークショップも実施。学生が玉結びをせずに縫い上げるウクライナ独自の刺繍について学び、クリスマスが近いことからツリー飾りを制作しました。参加した学生は、「ミシンを使わない手刺繍でこれだけ複雑で細かな作業をしていることに驚きました。玉止めをしない縫い方は新鮮で貴重な体験でした」「日本ではほとんどの人が和服を日常的には着ていないので、ウクライナの人の伝統へのリスペクトと文化の違いを感じました。また、オーガニックコットンへの理解も深まったと思います」といった感想を話していました。