脳機能回復促進音楽療法(FMT)の特別講義を行いました

教養学部芸術学科音楽学課程では7月9日に湘南キャンパスで、2014年度 MUSIC NOWとして、 FMT(脳機能回復促進音楽療法)とは?~本場スウェーデンよりセラピストをお招きして~」を開催しました。「音楽療法セッション」など の授業を履修している学生たちに、学びを深めてもらおうと実施したものです。当日は、FMT音楽療法士のカリーナ・ラルション氏を講師に、『スウェーデン のFMT脳機能回復促進音楽療法』の著者である加勢園子氏を講師兼通訳としてお招きし、学生や教員ら約40名が受講しました。

FMTは1970年代にスウェーデンで生まれ、ADHD(注意欠陥・多動性障害)や読み書き困難の子ども、脳梗塞の患者らに有効な療法として普及していま す。セラピスト(アコースティック・ピアノ)とクライアント(患者/打楽器)が一対一で向き合い、楽器によって生み出される音の振動や、打楽器を打つ動作 を通して脳に刺激を送り、機能の回復を図る、感覚運動的な療法です。カリーナ氏は、「クライアントとセッションする部屋では言葉を使いません。音楽がコ ミュニケーションの手段であり、言葉の代わりだからです」と話し、スウェーデンから持参したクライアントが使うシンバルや太鼓、笛、さまざまな形をしたバ チの機能や使い方を紹介。実際の治療の映像を使って解説し、「FMTを行う上で大切なのは、セッションする部屋をいつも同じ状態に保って安心感を与えるこ と、セラピスト主導ではなくクライアントに協調すること、成功体験を重ねて興味を引き出すことなどがあります。クライアントの成長や回復の様子を実感でき るととてもうれしい」と話しました。最後に参加した教員と学生が、カリーナ氏のピアノに合わせて打楽器をたたくクライアント役を体験して講義を終えまし た。

参加した学生は、「授業で毎週、病院や施設を訪れて音楽療法の実習を行っています。私たちの活動はグループセッションがメインなので、今回のように一人ひ とり個別のアプローチというのは難しいかもしれませんが、患者さんの表情や、腕や手首、肩の動きなども細かくチェックして対応することなどはとても参考に なりました。今後の実習に生かしていきたいです」と話していました。

脳機能回復促進音楽療法(FMT)の特別講義を行いました

脳機能回復促進音楽療法(FMT)の特別講義を行いました