オープンセミナー「森永製菓『1チョコfor1スマイル』の取り組みに関して」を開催しました

教養学部人間環境学科自然環境課程では、5月11日に人間環境研究会オープンセミナー「森永製菓『1チョコfor1スマイル』の取り組みに関して」を湘南キャンパスで開催しました。大学院人間環境学研究科との共催で、FD(=Faculty Development/授業改革)研修企画として3回連続で実施するこのセミナーは、各分野で活躍している方々の話を聞くことで、教員の授業の質の向上や学生の視野を広げることを目的としています。第1回は森永製菓株式会社の八木格氏(マーケティング本部菓子食品マーケティング部チョコレートカテゴリーマネージャー)と塩原真紀氏(コーポレートコミュニケーション部CSRグループ)が講演。学内外から学生や教職員ら約150名が聴講しました。

はじめに八木氏は、森永製菓が2003年から取り組んでいる「1チョコfor1スマイル」について、「カカオの生産国にいる子どもたちが安心して勉強できる環境づくりのために、商品の売上の一部を使って支援する活動です」と説明。これまで集まった寄付金、総額1億8225万9664円が、パートナーである国際NGOプランジャパンとACEを通じて、子どもたちの学校作りや危険な労働からの保護、カカオ農家の自立支援に使われていることを、具体例を挙げながら語りました。また、支援地区で取れたカカオを使ってチョコレートを作るという日本で初めての取り組みを紹介。「チョコを食べる人の寄付金によってカカオ農家の経営が安定し、良質のカカオを生産できるようになりました。それを弊社が購入してチョコを作り、食べる人に届ける。食べる人と作る人とを笑顔でつなぎたいという思いを実現できました」と振り返りました。2014年にはこの活動をもっとわかりやすく多くの人に知ってもらうために支援地区のカカオを使用しているチョコレートに世界的認証の「フェアトレード」マークを付与して発売したことを報告。八木氏は「発展途上国の製品を適正な価格で継続的に輸入・消費するというフェアトレードの取り組みを見聞きしたことのある人は10代後半では全体の64%にのぼり、若い人たちの間では一般常識として認知され始めています。今後皆さんのような若い人たちが中心になってこのような活動を支えていってもらえたら心強い」と参加者に期待を寄せました。塩原氏は、「2015年、日本最大級の環境展示会『エコプロダクツ』に出展し『1チョコfor 1スマイル』活動を紹介しました。今後も、これまで以上に弊社の取り組みを多くの人に知ってもらえるような活動やセミナーを主催していきたいです」と抱負を語りました。

講演後の質疑応答では、「企業として常に利益の確保が求められると思いますが、『1チョコfor1スマイル』の取り組みを始める前と始めた後では、売上に変化があったのでしょうか」という質問に対して、八木氏は「ブランドとして売り上げは増加していますが、この活動がそれにどれだけの効果をもって直接かかわっているかどうかを判断するのは難しい。ただ、商品の品質や価格において他社との差別化が難しくなっている現在、売上や利益だけでなく『1チョコfor1スマイル』がお客さまにどのようにとらえられているかに注目しています。この活動が商品のブランド価値の向上に影響を与えているという手応えを感じています」と答えました。

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