2026年5月28日~29日に富山県民共生センターサンフォルテにて開催された情報処理学会コンピュータセキュリティ研究会(CSEC研究会)で発表した論文に対して、情報通信学科の渡辺直樹さん(4年次生)はCSEC優秀研究賞、同学科の曽我悠太さん(4年次生)はCSEC優秀学生研究賞を受賞しました。
CSEC優秀研究賞はCSEC研究会の各回で発表された全論文を対象に、上位10%を目安に優秀な発表に授与される賞であり、今回は渡辺さんの論文1件のみが受賞しました(1件/13件)。
CSEC優秀学生論文賞は発表論文の中の学生が発表した論文を対象に、上位20%を目安に優秀な発表に授与される賞であり、今回は曽我さんの論文を含んだ2件が受賞しました(2件/10件)。
表彰式は2026年10月開催の日本最大規模のセキュリティ分野の学会であるコンピュータセキュリティシンポジウム2026にて執り行われます。
CSEC優秀研究賞 受賞
■タイトル
不可視光レーザ照射を用いた標的型敵対的サンプル
■著者
渡辺 直樹、小菅 大輔、眞鍋 泰河 (東海大学)、矢内 直人 (パナソニック ホールディングス)、山本 宙、高山 佳久、大東 俊博 (東海大学)

CSEC優秀学生研究賞 受賞
■タイトル
不可視光レーザ照射を用いたステルス型バックドア攻撃
■著者
曽我 悠太、小菅 大輔、眞鍋 泰河 (東海大学)、矢内 直人 (パナソニック ホールディングス)、山本 宙、高山 佳久、大東 俊博 (東海大学)

彼らの発表はどちらも自動運転車に搭載される人工知能(AI)による道路標識の自動識別の安全性に関する研究です。AIによる自動識別では、道路標識の画像に人の目には認識しにくい微細なノイズを付加することで別の標識と誤認識させる「敵対的サンプル」が知られています。渡辺さんの研究ではノイズの一部を欠損させて弱めることで通常時には誤認識せず、その後に標識に対して不可視のレーザを照射し外部からの追加のノイズを与えることで任意のタイミングで道路標識を誤認識させるアプローチを示しています。特に、事前に付加するノイズの与え方によって攻撃者が誤認識させられる標識の種類をコントロール可能であるという問題を示唆しています。なお、この攻撃に類する攻撃については共著者の小菅さんによって対策法が別途提案されています。
曽我さんの発表では敵対的サンプルとは別のアプローチである「バックドア攻撃」について議論しています。この攻撃ではAIの学習にある種の特徴的なパターン(トリガー)を混入できた場合に成立する攻撃であり、そのトリガーは道路標識にはるステッカーのようなものが使われていたが、曽我さんは不可視のレーザをトリガーにする方法を提案しています。従来の方法では攻撃時に道路標識にステッカーが貼られているなど、明らかに何らかの操作を受けていることが肉眼で確認できていましたが、曽我さんの方法では肉眼で見ることができないレーザにより変化を与えるため攻撃が検出されにくいという脅威があります。
渡辺さん、曽我さんの指導教員である情報通信学科の大東俊博教授は、「渡辺さんも曽我さんも3年生の秋に研究室に配属されてから、これらのテーマに対してかなりの情熱と時間を費やして取り組んでくれました。初めての発表で彼らの成果が評価されて率直にうれしいです。曽我さんの研究を更にブラッシュアップしたものは、2026年7月にポルトガルのリスボンで開催される国際会議ACSW’26 (The fifth workshop on Automotive Cyber Security)に採録されています。彼らの今後の活躍を楽しみにして、丁寧な指導を心掛けたい」と語りました。
受賞者の渡辺さんは、「初めての研究発表で緊張しましたが、自分の研究を評価していただけてとてもうれしく思います。今回の受賞を励みに、これからも研究をさらに深めていきたいです」と抱負を語りました。また、曽我さんは、「初めての研究だったので不安もありましたが、多くの方に研究内容を評価していただき、さらにこのような賞をいただけたことをとてもうれしく思います。今回の経験を励みに、今後も研究に取り組み、より良い成果を出せるよう頑張りたいです」と話しました。