高雄教授らのグループがマウス網膜で新しい網膜電図成分を発見しました

情報理工学部情報科学科の高雄元晴教授らのグループは、マウスの網膜においてこれまで知られてこなかった「網膜電図」の成分の発見に成功し、国際脳研究機構(IBRO)の機関誌「Neuroscience」において6月中旬に発表しました。網膜の細胞では光を感じ、情報を分析する際に電気信号が発生します。今回の研究は、この電気信号に含まれる新たな成分を発見したものです。この網膜電図成分は、これまで知られている成分に比べてかなり強い光を網膜にあてて初めて出現するとともに、電気的に大きいながらもかなりゆっくりとした変化を示しました。また青色に相当する光の波長に最も強く反応しました。

高雄教授は、「この網膜電図の特徴は17年前に、アメリカ・ブラウン大学に留学している際に発見した内因性光感受性網膜神経節細胞にそっくりで、この細胞の光反応を網膜電図としてとらえたものと考えられます。内因性光感受性網膜神経節細胞は概日リズム(脳の中で刻まれる約一日のリズム)の光同調(光による概日リズムの調節)や光瞳孔反射(眼球の中に入ってくる光による瞳孔のサイズの調節)にかかわっているとともに、視神経の切断や網膜の血液循環の障害にも強いことがわかっています。この網膜電図成分について研究を進めていくことは、睡眠・リズム障害や眼科分野の新たな診断法に関する医工連携研究につながるのではないかと考えています」と話しています。

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