情報理工学部の小坂准教授が講師を務める企業での「パパの子育て体験塾」を視察しました

情報理工学部情報メディア学科の小坂崇之准教授が、ソニーグループで実施されている「パパの子育て体験塾(リアル妊娠体験)」で講師を務めています。本セミナーは、同社の社員を対象に、男女ともに育児参画意識を向上させ、長期的なキャリア継続を支援することを目的とし、2023年度から設けられています。小坂准教授が開発した妊婦の大変さや喜びを疑似体験できるシステム「Mommy Tummy」(マミータミー)や、新生児体験システム「Crying Baby」を使い、男性が妊婦や母親の大変さを体感することで、女性の妊娠期のサポートや産後の育児に主体的に向き合うきっかけを提供しています。昨年7月に第1回が実施され、第3回目となる2月16日に開かれた同セミナーでは、本学大学ダイバーシティ推進タスクフォース事業のメンバーが、本学での導入に向けた視察も行いました。

セミナーには、妊娠中のパートナーがいる男性社員や妊娠中の女性社員とそのパートナー、チーム内に育休を取得した社員がいるマネジメントやメンバー、子育て中の社員、今後のキャリアの中で育休取得をイメージしている社員が多数参加していました。各回初めに小坂准教授が講演し、「当たり前ですが男性は妊娠できません。ですから、“妊婦の私の気持ちも考えてよ!”と奥さんに訴えられたとしても“分かるわけがないだろう”となってしまうケースが多いのではないでしょうか。このシステムを体験したことで少しでも妊婦さんの大変さに気づく動機づくりができればと開発を続けてきました」と約10年前から開発を続けてきた「Mommy Tummy」について紹介。さらに、自らが生後すぐの子どもを一人で面倒を見た経験を振り返りながら、新生児と同じタイミングでミルクやオムツ替えを求めて泣き出し、泣き声を止めるためにはあやし続けて泣き止ませる仕組みとなっている「Crying Baby」について触れ、「多くの家庭では、現在も育児での父親の役割は少なく、母親のワンオペ育児が続いているというデータもあります。電源ボタンのないCrying Babyを泣き止ませるにはあやし続ける必要があり、リアルな子育て体験を提供できると考えています。実際に体験していただくことで、父親の育休取得への理解が進むことを願っています」と語りました。

セミナーを運営するソニーピープルソリューションズ株式会社ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進室の森慎吾室長は、「ソニーグループ各社では男性社員の育休取得を以前より推進しており、業務とプライベートを両立するためにさまざまな施策を展開してきました。小坂准教授によるセミナー開催に当たっては、グループ全社員向けに参加を呼びかけ、さまざまな立場の社員が積極的に参加しており、妊婦や新生児の育児を、身をもって体験できる貴重な機会となっています。」と語ります。

本セミナーを視察した大学ダイバーシティ推進タスクフォース事業のメンバーで本学学長室(渉外担当)の佐藤公俊課長補佐は、「現代社会では、年齢や性別、性自認・性的指向、障がい、国籍、エスニシティなどの属性や、生き方や価値観の多様性(ダイバーシティ)を尊重する社会に向けた取り組みが求められており、本学でも2008年に『東海大学男女共同参画宣言』を策定したほか、全学でQOL(Quality of Life)の向上を掲げ、教育・研究・大学運営で『人と社会と自然の共生』に向けた取り組みを進めています。また、22年にはダイバーシティを積極的に推進する姿勢を明確にし、組織的な取り組みを進めていくために、『東海大学ダイバーシティ推進宣言および基本方針』も策定しました。ソニーグループにおける取り組みも参考に、本学内でも男性教職員の育休取得率向上に向け具体的な活動につなげていく考えです」と話しています。