千葉刑務所を訪問し、「被害者の視点を取り入れた教育」についてのお話を伺いました

2024年2月26日、法学部柑本ゼミ所属の学生5名が千葉刑務所を訪問しました。この訪問の目的は、「被害者の視点を取り入れた教育」が、どのような内容であり、どのような目的をもって行われているのかを、より深く理解してもらうことにありました。「被害者の視点を取り入れた教育」とは、被害者の命を奪い、又はその身体に重大な被害をもたらす罪を犯し、被害者やその遺族等に対する謝罪、賠償等について特に考えさせる必要がある者に対し受講が義務付けられるプログラムであり、生命犯が多い千葉刑務所では、処遇において極めて重要な役割を担っています。

当日は、千葉刑務所の概況説明を受けた後、所内の工場、教室、体育館、受刑者の居室である単独室、集団室を見学させて頂きました。その後、拘禁刑に向けた千葉刑務所の大きな課題である「長期受刑者の矯正処遇の在り方」への取り組みの一つとして、「被害者の視点を取り入れた教育」をどのように実施しているのかを、実際にプログラムを担当している東本愛香千葉大学社会精神保健教育研究センター特任講師、そして、教育担当の先生方から詳細に説明して頂きました。最後に、学生との質疑応答を一時間半近くにわたり実施して頂きました。感想からも分かるように、学生達にとって非常に貴重な学びの機会になったと思います。

【学生達の感想】
・「このプログラムが存在することによって更生することのできる確率も大きく上がると考えられる他、自分自身に寄り添ってもらえるという感情があることによって考え方、生き方を見直すことにも繋がるのではないかと考えさせられました。」
・「死刑確定者にも拘置所で千葉刑務所のような指導をして、被害者遺族に謝罪してから刑の執行を受けてほしいと思いました。加害者が自分の罪と向き合い、命の尊さを認識して反省し、被害者遺族が望む謝罪をする。これが一番大切なことであると見学を通して学ぶことができました。」
・「共感することをテーマにした「対話」や、虐待された過去によって欠落していた命の大切さや尊さに対する人生観についての理解を深めさせることなど、様々な話をお聞きしたなかで、自ずと事件に対する自覚と責任について向き合い続け、正解のないしょく罪のあり方について見据えた指導を行っていくことで再発防止につながり、更生されていくのだと改めて感じました。」
・「話し合いの場面で、1人の受刑者の方が「普通の人だからそのような考え方ができるんだ」というような発言をしていたことが印象に残っています。生まれた環境や育ってきた環境が違うだけで、自分を形成していくために必要な考え方(罪を犯してはならない、物事を暴力で解決してはならない、など)がこんなにも異なってくるのだなと思いました。」
・「犯罪被害者や遺族が、元の生活に戻りたくても戻ることができない中、その日常を奪った加害者が刑務所で衣食住を保障され、変わらずに生きているという現状に疑問がありました。しかし、こうして実際に受刑者のプログラムを行なっている方の意見を聞くことができたことで新たな視点から受刑者を見ることができました。」

明治時代に建設されたレンガ造りの庁舎の前で、教育専門官の先生方と共に