法学部法律学科の大塚滋教授の著書『説き語り 法実証主義』がこのほど、成文堂から出版されました。この著書は、法哲学の分野で長く読み継がれるシリーズとすることを目指している『新基礎法学叢書』の第5巻にあたります。
大塚教授は法哲学や法思想史が専門で、20世紀最大の法学者ハンス・ケルゼンや19世紀のローマ法学者ルドルフ・フォン・イェーリングの思想について長く 研究を続けています。今回の著書では、大塚教授が初めて大学の教壇に立った頃に作成した講義ノートを基礎にしながら、ケルゼンの他に、ジェレミー・ベンサ ム、ハーバード・ハートら同じく法実証主義者とされる法学者の著書を細かく読み解き、真の法実証主義とはどのようなものか、それがいかに誤解されてきたか を明らかにしようと試みています。
大塚教授は、「学問に取り組む上で、原典を読み解くことから始めることを大切にして研究を積み重ねてきました。外国語の文献などは、読むこと自体が難しい と感じることもあるかもしれませんが、その壁を乗り越えることで借り物ではない、自分の理解をすることができるようになり、学問的な議論をする上での大き な基礎を培うことができます。今回は、堅苦しい文語体では表現しきれない私の考えを伝えたいとの思いから、著者が読者に語りかける『説き語り』の手法を取 り入れました。敬遠されがちな古典の原典に触れる入り口として、これから法学を学ぼうと希望する多くの人たちに読んでいただき、法哲学にも興味を持っても らいたいと考えています」と語っています。