知のコスモス講演会「スラヴ・キリスト教文化の誕生―スラヴ文字文化の成立―」を開催しました

文学部歴史学科西洋史専攻では6月26日にオンラインで、知のコスモス講演会「スラヴ・キリスト教文化の誕生―スラヴ文字文化の成立―」を開催しました。ブルガリア政府と本学の学術交流に長年携わってきた金原保夫名誉教授が講師を務め、現在、世界第3位の使用者数を有するキリル文字について、中世ブルガリアにおけるその誕生の歴史的経緯を解説しました。

当日はWEBビデオ会議システム「Zoom」を使い、100名を越える学生や教職員、地域住民らが参加しました。金原名誉教授は冒頭で、ヨーロッパにおける使用者の人口や地域分布の点から、キリル文字の歴史を探る意義を指摘。「9世紀後半に中欧で初のスラヴ文字であるグラゴール文字が考案され、9世紀末にはギリシア文化の影響下にあったブルガリアで、グラゴール文字を基盤にギリシア文字を取り入れたキリル文字が創作されました」と誕生の経緯を語りました。「グラゴール文字に比べて習得が容易であったキリル文字の発明の結果、スラヴ語典礼が普及し、スラヴ固有のキリスト教文化が発展することにもなりました」とこの言語革命が後世に与えた影響について説明しました。

最後に金原名誉教授は、「キリル文字が加わることで、スラヴ・キリスト教文化が完成し、ロシア、セルビアに広まることにつながりました。それがブルガリアの中世史における重要な役割でした」と講演を締めくくり、中世ブルガリア史やスラヴ語世界に目を向ける意義を伝えました。