国際ワークショップ「Challenges of Marine Observations and Development of International Collaboration」をオンラインで開催しました

海洋研究所が3月6日にオンラインで、国際ワークショップ「Challenges of Marine Observations and Development of International Collaboration」(共催:大学院地球環境科学研究科、大学院海洋学研究科)を開催しました。本研究所では長年にわたり、清水キャンパスの眼前に広がる駿河湾をフィールドに津波や泥火山、海底地すべりなど多様な研究に取り組んでいます。本ワークショップは、地質学的、生物学的、環境科学的な要因を検討・解明するための観測ネットワークの可能性について、世界各国の研究者と議論することを目的としたものです。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、WEBビデオ会議システム「Zoom」を使って実施し、当日は130名が参加しました。

開会にあたり山田清志学長が、「コロナ禍でもこうしたセミナーを開くことができ誇らしく思います。今回は本学が取り組んできた海洋研究の事例を共有し、参加された皆さまの研究に成果をもたらす有意なものとなることを期待しています」とあいさつ。ワークショップでは6名の研究者がそれぞれの専門領域と成果について発表し、本学からは海洋研究所の平朝彦所長が「New Challenges for Seafloor Observatories」と題して講演しました。日本列島近郊の3つのプレートや南海トラフの海底地形を図で示し、昨年度まで理事長を務めていた海洋研究開発機構(JAMSTEC)での研究成果を紹介。「新たな研究への挑戦に向け、これまで以上に国際協力を発展させていきたい」と今後の展望についても語りました。また、アメリカ・モントレー湾水族館研究所のチャールズ・ポール氏、ハワイ大学のグレゴリー・ムーア氏、オーストラリア・タスマニア大学のマイク・コッフィン氏が各国における研究調査について報告。日本からはJAMSTECの有吉慶介氏と稲垣史生氏が参加し、2004年のスマトラ沖地震を機に南海トラフ周辺に設置された地震・津波観測監視システムなど先進的な研究成果を発表した後、今後の国際連携などについて議論しました。

後半では本学清水キャンパス所属する教員や大学院生らによるポスターセッションを実施。地質学、生物学、環境科学、社会科学など多様なテーマでの研究内容を紹介しました。

当日の講演内容は以下の通りです。

「New Challenges for Seafloor Observatories」
平 朝彦所長(東海大学海洋研究所)
「Monitoring the Passage of Sediment Gravity Flows within Monterey Canyon, Offshore California」
チャールズ・ポール氏(モントレー湾水族館研究所)
「Modern Submarine Landslides in the Nankai Trough: Re-sedimentation on an active accretionary prism」
グレゴリー・ムーア氏(ハワイ大学)
「The World’s Largest Submarine Canyon—Kroenke Canyon in the Western Equatorial Pacific Ocean」
マイク・コッフィン氏(タスマニア大学)
「Integrated Analysis of Geoscience Observations from the Floor to Surface of the Ocean」
有吉慶介氏(JAMSTEC)
「The Nature and Limits of the Deep Subseafloor Biosphere: A Geomicrobiological Perspective on the Oceanic Crust and Upper Mantle」
稲垣史生氏(JAMSTEC)