医学部付属病院の菊地医師が第34回消化器疾患病態治療研究会「研修医・専攻医アワード 最優秀演題賞」を受賞しました

医学部付属病院消化器内科の菊地毅弘医師が、9月12日、13日に横浜市で開催された第34回消化器疾患病態治療研究会「研修医・専攻医アワード」セッションで「OTSC (Over The Scope Clip)システムで止血し得た、3回の内視鏡治療的止血、血管塞栓後に再出血した経鼻胃管接触による十二指腸潰瘍の1例」という題名で症例を発表。「最優秀演題賞」を受賞しました。

消化管出血に対しては、出血点に高周波を当てる「内視鏡的止血術」が標準的な治療法の一つとなっています。菊地医師らは、十二指腸潰瘍で出血した高齢患者に対し、3回にわたる内視鏡的止血術とIVR(血管にカテーテルを通して行う画像下治療)による血管塞栓術を行いましたが、いずれも再出血したため、病変部を吸引して縛る内視鏡治療「OTSC」を実施して止血に成功。その成果を今回の研究会で発表しました。菊地医師は、「人工呼吸器管理と人工透析管理下で開腹手術が困難な患者さんでした。なんとかして救いたいと考え、内視鏡的止血術やOTSCの再出血率などの先行研究を調べたりして、最終的にOTSCを実施しました。出血を止めるとともに、OTSCという比較的に新しい治療法の可能性を明らかにすることもできました」と振り返ります。

菊地医師は2023年3月に本学科を卒業後、付属病院における2年間の臨床研修を経て、今年度から専攻医(専門研修中の医師)として、消化器内科の鈴木秀和教授、佐野正弥助教らの指導を受けて研鑽を積んでいます。「今の自分に求められるのは、一人ひとりの患者さんにしっかりと向き合い、目の前の課題を着実にクリアしていくこと。さらに症例を積み重ねて知識を深めるとともに、手技をきわめるために努力したい」と意欲を話します。

鈴木教授は、「困難な状況でも、あきらめずに、過去の症例やさまざまな治療の効果を比較検討する中で、その患者さんのために取りうる最善の方法としてOTSCを採択し、技術的にも難しい治療を成功させました。日ごろから問題意識を持ち、知識を深め、技術を磨いている成果だと思います。本アワード・セッションでも、参加者からの多様な質問に理論的かつ明確に答える姿がとても印象的でした。さらに研鑽を積み、どのような状況の患者さんに対しても的確な判断ができる“良医”を目指してほしい」と期待を語っています。