大学院医学研究科看護学専攻修了生の小栗さんが日本看護学教育学会「最優秀演題賞」を受賞しました

大学院医学研究科看護学専攻修士課程修了生の小栗藍子さん(看護師キャリア支援センター職員)が、8月29日、30日に北海道で開催された一般社団法人日本看護学教育学会第35回学術集会の育成部門口頭発表セッションに登壇。「がん患者に関わる中堅看護師と研究者とのニューマン理論に基づくパートナーシップの過程」と題した研究成果を発表し、「最優秀演題賞」を受賞しました。

小栗さんは、アメリカの看護理論家であるマーガレット・A・ニューマンが提唱した「ニューマン理論」(人が相互作用により自己のありようを認識し、新たな生き方を見出すという健康の理論)に注目。対話を通じた相互作用(双方の変容)の過程を明らかにするため、がん患者に関わる4名の中堅看護師との対話の内容と自身の心の動きを書き止めて双方の変化を分析し、修士論文にまとめました。今回の学術集会のセッションではその一例を紹介。中堅看護師は患者と真摯に向き合う向ける新たな看護実践へと踏み出し、小栗さんはその看護師を信じて新しい支援に取り組むといった変化が生じたことを発表しました。

小栗さんは2009年度に健康科学部(現・医学部)看護学科を卒業後、医学部付属八王子病院勤務を経て本専攻に進学。今泉郷子教授の指導を受けてニューマン理論の研究に取り組みました。「一定のキャリアを積んだ看護師には、周囲の期待と自己評価とのギャップを感じるといった入職当初とは異なる悩みや迷いが生じてきます。対話によるニューマン理論の実践は、看護師が自分の成長を実感し、自己肯定感や仕事への意欲を高めるためにも有用であり、最終的により充実した看護・医療につながると考えます。現在、勤務している看護師キャリア支援センターや医療現場でこの研究成果を生かすとともに、ニューマン理論のさらなる可能性を追究したい」と話します。

今泉教授は、「看護師の成長は、資格の取得といった目に見える結果に限らず、一人ひとりが新たな気づきを得て歩み続ける過程にも認められることを明らかにしてくれました。さらに、患者さんと看護師とのケアリング(関係性)はもちろん、看護師同士や医療チーム全体におけるケアリングの重要性も示唆されており、意義深い成果と捉えています。ぜひ臨床現場で実践につなげてほしい」と期待を語っています。