医学部医学科の長谷部教授らが開発した医療機器の実用化を目指す企業が「日本医療研究開発大賞 スタートアップ賞」を受賞しました

医学部医学科専門診療学系画像診断学領域の長谷部光泉教授(医学部付属八王子病院血管内治療センター長)らが開発した医療機器「膝下血管病変向け薬剤溶出型ステントシステム」の実用化を目指す東海大学医学部発のベンチャー企業Global Vascular株式会社がこのほど、内閣府主催の「第8回日本医療研究開発大賞 スタートアップ賞」(健康・医療戦略担当大臣表彰)を受賞。1月16日に首相官邸で表彰式が行われ、高市早苗首相をはじめ関係者が出席する中、小野田紀美健康・医療戦略担当大臣から同社の尾藤健太代表取締役CEO(東海大学医学部客員講師)及び長谷部教授に表彰状と盾が授与されました。日本医療研究開発大賞は、医療分野の研究開発の推進に多大な貢献をした事例に対して贈られています。今回、スタートアップ賞を受賞したのは全国でGlobal Vascular株式会社のみとなっており、同社が取り組む「世界初 異物反応を抑制する膝下動脈用BioStealth™ステント日米承認開発と治験」が、特に顕著な功績と将来性が期待されるスタートアップ事例として評価されました。

受賞対象となった「BioStealth™(バイオステルス)ステント」は、膝下の血管が狭くなったり詰まったりする下肢閉塞性動脈硬化症(LEAD)の治療に用いる医療機器です。LEADの患者数は、日本に約30万人、世界に約2,500万人おり、重症化すると1年以内に約30%が下肢切断、約25%が死亡に至ります。閉塞性動脈硬化症の治療法として、ステント(金属製の網目状の管)を血管内に留置して血流を回腹する方法が用いられていますが、膝下の血管は細くて屈曲しており、石灰化病変が多いことから治療が難しいとされてきました。

長谷部教授らはこの問題を解決するため、血管の屈曲や変形に耐え、血栓の付着や異物反応を押さえて長期間の留置を可能にするBioStealth™ステントと、これを安全に留置するデリバリーシステムを開発。本システムの安全性・有効性を評価するため、付属八王子病院血管内治療センターにおいて、長谷部教授を治験調整医師、小川普久准教授を治験責任医師とする医師主導治験を、複数の診療科及び診療協力部門の協力の下で開始しています。一方、Global Vascular社では国内における製造体制を整備するとともに、アメリカ食品医薬品局(FDA)との調整を行うなど、世界展開を見据えた事業展開を推進。こうした取り組みが、「アカデミア発の技術を基盤として、医工産官学連携チームの総合力・先見性・迅速な意思決定を武器に、高度な研究開発と事業戦略を融合して実現した点で優れており、日本発イノベーションとして国際展開が期待される」として高く評価されました。

長谷部教授は、「医学と化学、素材、薬学の専門家が連携し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)等の支援を受けて20年以上にわたり続けてきた研究が、ようやく患者さんの元に届けられる段階まで進みつつあります。今回の受賞は、人工臓器の異物反応を抑える基盤技術の確立はもちろん、“日本発”の技術の国際展開に対する期待と受け止めています。高市首相からも、治験や今後の展開について激励の言葉をいただきました。ぜひとも治験を成功させ、世界中の患者さんに貢献したい」と話しています。