医学部付属病院が「認知症治療の最前線」をテーマに認知症研修会を開催しました

伊勢原キャンパスの医学部付属病院認知症疾患医療センターでは2月20日に、「令和7年度認知症研修会」を開催しました。本センターは、神奈川県の「基幹型認知症疾患医療センター」に指定されており、県全域の医療・介護関係機関等と連携した診療や医療相談、情報提供などに取り組んでいます。この研修会はその一環で、患者の診療や支援に携わる人を対象に実施しているものです。今回は、「認知症治療の最前線~新薬の可能性と地域医療の役割」をテーマに、2名の専門医が講演。オンラインを併用し、医療機関や地方自治体、福祉施設、地域包括支援センターの職員ら150名以上が参加しました。

初めに、本センターの永田栄一郎センター長(脳神経内科診療科長、医学部医学科教授)が開催の趣旨を説明し、「臨床現場で多くの患者さんに接している先生方を講師に招き、治療に関する最新情報をお話しいただきます。ぜひ皆さんの仕事や活動に役立ててください」とあいさつしました。

続いて、東京都健康長寿医療センターの井原涼子氏が、「アルツハイマー病新規治療薬・抗アミロイドβ抗体薬とは?」をテーマに講演。2023年以降に承認・発売された2種類の抗アミロイドβ抗体薬を、「認知症の進行を遅らせ、自立して日々の生活を楽しめる時間を延ばすための薬」と説明し、適応や投与法、効果、診療の流れについて解説しました。また、適正な使用や継続投与の重要性を強調し、「患者さんの増加が見込まれる中、6カ月目以降の投与を担う医療機関は不可欠であり、診療における地域連携がこれまで以上に求められています」と語りました。

「地域に期待される認知症インクルーシブ」と題して講演した横浜総合病院の長田乾氏は、多様な統計データを基に、介護者の高齢化や家族の負担といった課題を指摘。医療、福祉、経済面から認知症患者とその家族を支える制度や、地域包括支援センター、認知症疾患医療センターなどの役割を説明しました。さらに、高齢者らが飲食や音楽を楽しみながら交流する場として立ち上げた「オレンジバル」の取り組みを紹介し、「街も人の気持ちもバリアフリーにして、あらゆる立場の人が認知症の人と家族を支えるインクルーシブな社会づくりが大切です」とまとめました。各講演後には会場から多くの質問が寄せられました。

最後に、本センターの山本賢司医師(精神科診療科長、医学部医学科教授)が講師と参加者への謝辞を述べ、「誰もがその人らしく老いて最期を迎えられる環境や体制を整えるため、今後も皆さんと共に学ぶ機会を設けていきます」と結びました。参加者からは、「毎年欠かさず受講しています。高名な先生方から最新の治療やデータをお示しいただき、今回も大変有意義な研修会でした」「抗アミロイドβ抗体薬を有効に活用してもらえるよう、患者さんを早期に医療機関につなぐ取り組みを進めたい」「心理的バリアフリーを意識して患者さんや家族に接するよう意識するとともに、その考えを職場や地域に広めたい」といった感想が聞かれました。

当日のプログラムは下記のとおりです。
【開会の辞】
 永田栄一郎教授
【一般講演①】
 座長:山本賢司教授
 講師:井原涼子氏(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 
          健康長寿イノベーションセンター臨床開発ユニット長/脳神経内科)
 テーマ:「アルツハイマー病新規治療薬・抗アミロイドβ抗体薬とは?」
【特別講演②】
 座長:永田栄一郎教授
 講師:長田 乾氏(医療法人社団緑成会横浜総合病院臨床研究センター長、
          横浜市認知症疾患医療センター長)
 テーマ:「地域に期待される認知症インクルーシブ」
【閉会の辞】
 山本賢司教授