
総合医学研究所の津川仁准教授(医学部医学科基礎医学系生体防御学領域)がこのほど、「Helicobacter pyloriの薬剤耐性化の分子理解と胃がん発症者選択性を規定する分子応答の解明」と題した研究で、日本ヘリコバクター学会学術賞(基礎部門)を受賞。7月3日から5日まで神奈川県箱根町で開催された同学会「第32回学術集会」で授賞式と記念講演が行われました。
Helicobacter pylori(ヘリコバクター・ピロリ=ピロリ菌)は、ヒトへの感染後に胃の粘膜に慢性的に生息する細菌で、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因になることが知られています。薬による除菌治療が行われていますが、近年は薬剤耐性を持つピロリ菌が増加している点も課題となっています。
細菌学が専門の津川准教授は、分子レベルの研究により、ピロリ菌が慢性的に胃内に生存し続けられる原因や薬剤耐性を獲得するメカニズムを解明。さらに、ピロリ菌感染者のうち、胃がんを発症する人としない人との違いも明らかにしました。こうした成果が、ピロリ菌の効果的な除菌をはじめ、胃潰瘍や胃がんなどの発症予防や治療法の開発につながる基盤研究として高く評価されました。
津川准教授は、「ご指導いただいた消化器内科学領域の鈴木秀和先生をはじめ、協力してくださった多くの方に感謝します。ピロリ菌は、細菌とヒトがどのように共存し、その相互作用がいかに疾患の発症につながるのかを理解する上で、極めて重要な学術的視座を与えてくれます。本研究を通じて培った解析技術と学術的視点を礎に、今後も疾患を制御する細菌と宿主の相互作用に関する研究の発展に貢献し、世界を牽引する細菌学研究の実践を目指して精進していきます」と話しています。
※津川准教授が展開する研究の詳細は、下記URLからご覧いただけます。
https://sites.google.com/view/host-defense-mech-transkingdom/home