
医学部付属病院で6月23日から、「ヒト羊膜由来間葉系幹細胞」(羊膜MSC)を用いた変形性膝関節症に対する新たな再生医療の臨床研究を開始しました。医学部医学科外科学系整形外科学領域の佐藤正人教授(総合医学研究所次長)が実施責任者を務めます。
変形性膝関節症は、加齢などで膝の軟骨がすり減ることで痛みや関節の変形が生じる疾患で、悪化すると歩行困難に至ります。今回の臨床研究は、出産時に廃棄される羊膜(胎児と羊水を包む膜)から分離・培養した羊膜MSCを患者の膝関節腔内に注射し、安全性と有効性を評価することを目的としたものです。今回は、20歳以上の患者6名に1,000 万個(1mL)の羊膜 MSC を投与。重篤な疾病などが認められなかった場合は、別の患者6名に対して5,000 万個(5mL)を投与する計画です。
羊膜MSCは、筋肉や軟骨などの細胞に分化する能力を持ち、免疫抑制作用が高いため、移植時に拒絶反応が起こりにくいといった特長を持っています。羊膜の採取から羊膜MSCの培養、保存までは、株式会社カネカの特定細胞加工物等製造施設で行われます。他者の細胞を用いる再生医療は患者の健康に及ぼすリスクが高いため、提供にあたっては「第一種再生医療等提供計画」として、再生医療等安全性確保法に基づく2段階の審査が必要になります。同研究は、昨年5月に東海大学特定認定再生医療等委員会の審査で「適」とされた後、厚生労働省に提出。11月に開かれた厚生科学審議会再生医療等評価部会で提供基準の適合性の確認を経て、実施準備を進めてきました。
佐藤教授らは、日本医療研究開発機構(AMED)などの支援を受け、ヒトの軟骨細胞を培養した「細胞シート」を用いた軟骨再生医療を世界に先駆けて同病院で実施するなど、多様なアプローチで同疾患の治療法の研究開発を展開しています。「変形性膝関節症の自覚症状を有する患者数は国内で約1000万人、潜在的な患者数は約3000万人と推定され、要支援・要介護の要因ともなる運動器疾患の多数を占めています。科学的根拠に基づく安全で効果的な治療の選択肢を増やし、“いつまでも歩ける未来”を目指して努力します」と話しています。
※佐藤教授らの研究は下記のページからご覧いただけます。
https://cellsheet.med.u-tokai.ac.jp/
