「BioJapan2024」に「首都圏ARコンソーシアム」の構成機関として共同出展しました

東海大学では10月9日から11日までパシフィコ横浜で開催された「BioJapan2024」に、「首都圏ARコンソーシアム(MARC)※」の構成機関として共同出展しました。「BioJapan」は世界で最も古い歴史を持つアジア最大級のバイオテクノロジーに関するパートナリングイベントで、今回が26回目となります。本学からは医学部医学科の研究者が、新たな治療薬の開発が期待される、特許出願中を含む3つの研究シーズをポスター発表しました。

基礎医学系生体機能学領域の柳川享世助教と総合医学研究所の稲垣豊教授は、肝硬変や肝がんを引き起こす肝臓の線維化に着目して研究しています。今回は、「標的指向性エクソソームを用いた肝再生促進治療法の開発」をテーマに出展。線維化した肝臓を正常な状態に戻す働きを持つ物質として同定した、エクソソーム(細胞外分泌小胞)に内包されたタンパク質「OGFRL1」と、この物質を治療標的細胞に選択的に届けるための研究成果を紹介し、注目されました。

外科学系整形外科学領域からは、佐藤正人教授が中心となって展開している変形性膝関節症の治療薬に関する2つの研究シーズを出展。豊田恵利子特任准教授は、「核酸医薬による変形性膝関節症に対するdisease-modifying osteoarthritis drugs(DMOADs)の創製」と題して、血管の新生を抑制する作用を持つmiRNA(マイクロRNA=遺伝子の発現などに作用する物質)と軟骨を保護する作用を持つmiRNAを混ぜた関節内注射製剤を紹介しました。前原美樹特定研究員は、「関節疾患の治療および予防のためのエクソソーム医薬組成物」をテーマに発表。変形性膝関節症の治療で用いる軟骨細胞シート(軟骨細胞を培養して作製した移植用のシート)が、硝子軟骨の再生に寄与するmiRNAを内包したエクソソームを放出することに着目し、同物質を用いた関節疾患の治療・予防薬の可能性をアピールしました。ブースには連日、多くの研究者や製薬企業の社員らが訪れ、研究の詳細や治療薬の開発状況、実用化の可能性などについて意見を交わしていました。

なお、MARCのブース出展に加え、10日と11日には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のピッチ・プレゼンテーションに稲垣教授が登壇。令和4年度から6年度にAMEDの「肝炎等克服実用化研究事業」の採択を受けて展開している 「コラーゲン産生細胞の脱活性化誘導と独創的in silico創薬法に基づく肝線維症の革新的治療法の開発」の概要を紹介しました。

※首都圏ARコンソーシアム(MARC)
首都圏の私立大学をはじめとする臨床研究機関が連携・協力関係を結び、アカデミアの基礎研究の成果を実用化につなげる非臨床・臨床一体型の橋渡し研究体制の構築、人材の育成、情報の共有等を図ることを目的として2017年1月に発足。22年4月に一般社団法人化されています。

公式ホームページ
https://marc-med.org/