
医学部医学科内科学系腎内分泌代謝内科学領域の村田敬教授(医学部付属八王子病院)と豊田雅夫教授(医学部付属病院)が共同代表を務める研究グループによる1型糖尿病に関する研究がこのほど、アメリカ「Breakthrough T1D財団」の研究支援事業に採択されました。同財団は、1型糖尿病の予防法や診断・治療法の開発などを支援する世界有数の団体です。本グループは、6月1日から3年間で総額88万ドル(約1億4千万円)の助成を受け、「東アジア人に適用可能な包括的遺伝子リスクスコア(GRS)を目的とした原因遺伝子変異の同定」に関する研究を開始しています。
1型糖尿病は、免疫系の異常によりインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊される自己免疫疾患で、生涯にわたるインスリン療法または移植医療が必要になります。日本国内の患者数は10万~14万人とされており、同病気の家族歴がある人は、ない人に比べて発症するリスクが高いことが分かっています。近年、発症リスクの高い人を特定する技術の開発が進められており、その一つが、DNAを網羅的に解析して発症リスクを予測するGRSです。機械学習を用いて生成されるGRSは、従来の方法に比べてはるかに正確に予測できます。すでに欧米などで用いられていますが、主に白人を対象としたデータが中心で、人種が異なると正確に予測できないことが課題となっていました。
今回の研究は、アメリカのベンチャー企業T1D Scout社と連携し、日本人を含む東アジア人に対して精度の高いGRSの開発を目指すものです。この目標を達成するため、国内の病院や糖尿病を専門とするクリニックと連携し、1型糖尿病と2型糖尿病の患者各1000人と、東京大学医科学研究所に設置されているバイオバンク・ジャパンのデータを用いてDNAを解析し、機械学習により東アジア人向けのGRSを生成する計画です。
村田教授と豊田教授は、「GRSを用いると、一生に1回だけの検査で将来的な1型糖尿病発症リスクが分かります。世界中にいる東アジア系の人々にとって大きな希望になることはもちろん、人種によって発症率が異なる原因の解明も期待できると考えています。志を同じくする仲間とチームを結成し、研究の意義を明確に示すことで支援団体や社会の支持を取り付けて、本学を主管とする国際研究をスタートさせることができました。代表者としての責任を果たせるよう、社会実装に向けて研究を進展させたい」と意欲を話しています。