医学部医学科の石本教授が「産科医療功労者厚生労働大臣表彰」を受賞しました

医学部医学科の石本人士教授(専門診療学系産婦人科学)がこのほど、「令和4年度産科医療功労者厚生労働大臣表彰」を受賞しました。この表彰は、厚生労働大臣が都道府県知事の推薦のもと、長年にわたり地域における出産を支え産科医療の推進に貢献してきた個人や医療機関等の団体の功績をたたえるものです。

石本教授は、医学部付属病院総合周産期母子医療センター所長として、伊勢原市や平塚市など神奈川県西部地域における産科医療の最後の砦である同センターを支え、ハイリスク分娩の管理やハイリスク妊産婦の受け入れ体制の整備をはじめ、研究や教育を通じた産科医療従事者の資質の向上などに努めてきました。「妊娠22週から出生後7日未満までの周産期において、母体や胎児、新生児の命を守るためには、産婦人科だけでなく小児科や小児外科、救命救急科、麻酔科などとの連携とスタッフの良好なコミュニケーションが不可欠です。本センターでは、帝王切開を緊急度に応じて4つのグレードに分類し、母体や胎児の生命が危険な状態にある超緊急帝王切開を想定したシミュレーショントレーニングを各診療科や多職種と協力して定期的に実施するなど、24時間365日対応できる体制を整えています」と語ります。

目下の大きな問題である新型コロナウイルス感染症の診療についても、医学部付属病院が神奈川県の「周産期コロナ受入医療機関」湘南ブロック拠点医療機関に指定されたことを受け、行政や管内の医療機関などと協力しながら、県指定の災害時小児周産期リエゾンの一人として、コロナ陽性となった妊産婦の対応、診療調整に当たっています。

また石本教授は、長年にわたり公益財団法人日本医療機能評価機構・産科医療補償制度審査委員会の委員として同制度を支え、産科医療提供体制の確保に尽力しています。現在は、神奈川県産科婦人科医会の副会長、神奈川産科婦人科学会の学会長として、専門医研修や産婦人科学術活動の活性化にも取り組んでいます。

石本教授は慶應義塾大学医学部を卒業後、アメリカ・カリフォルニア大学サンフランシスコ校訪問博士研究員、慶應義塾大学専任講師、などを経て2008年に本学医学部に着任し、2009年に本センター所長に就任。産婦人科学、周産期医学、超音波診断学などの専門医・指導医として臨床、教育、研究に携わってきました。石本教授は、「表彰は私個人ではなく、スタッフ全員の努力に対して贈られたものだと思います。医療現場で、日々尽力している皆さんに感謝します」とコメント。「出生率は年々低下しています。私たち医師だけで少子化に歯止めをかけることはできませんが、出産という人生における大きなイベントをしっかりとサポートし、命に寄り添い、人々が未来に希望をもてるよう努めていきたいと思います」と話しています。