東海大学では10月11日から13日までパシフィコ横浜で開催された「BioJapan2023」に、「首都圏ARコンソーシアム(MARC)※」の構成機関として共同出展しました。「BioJapan」は世界で最も古い歴史を持つアジア最大級のバイオテクノロジーに関するパートナリングイベントで、今回が25回目となります。本学からは医学部と工学部の研究者3名が、医理工連携で取り組んでいる研究シーズをポスター発表しました。
医学部医学科の後藤信哉教授(内科学系循環器内科学領域/総合医学研究所)は、「革新的血小板接着動態定量評価法(推定装置、推定システム、推定方法及びプログラム」「革新的創薬法(フォンヴィルブランド因子と血小板との結合を阻害するための医薬組成物)」について発表。心筋梗塞・脳梗塞といった血栓性疾病に関与する血小板の血管壁への接着・流動動態を原子レベルで解析するとともに、ヒトの生体情報を集積した大規模データを活用して開発した重篤な血栓の形成を予測するプログラムや、血小板の接着を阻害する小分子化合物に関する研究成果を紹介しました。
医学部医学科の今井仁講師(総合診療学系健康管理学領域/総合医学研究所)は、「クローン病における病原性共生菌に対するモノクローナルIgA抗体の臨床応用」をテーマに発表。炎症性腸疾患の一つである難病「クローン病」の病態に寄与する病原性共生菌「AIEC」(接着性侵入性大腸菌)に特異的に反応する抗体「IgA」の同定と、この抗体をモノクローナル化したものを活用したAIEC保菌者の診断法、さらに、抗体が有する腸管上皮細胞への細菌の接着阻害という特徴を活かした治療応用の可能性について紹介しました。
工学部機械工学科の葛巻徹教授(マイクロ・ナノ研究開発センター)は、「脂肪由来幹細胞積層体からの腱様組織形成技術の開発」と題して発表。これまでに明らかにした、ヒト脂肪由来幹細胞の積層構造体(三次元構造体)の牽引による腱・じん帯と同様の細胞組織への分化や、その細胞から産生されたコラーゲン線維の架橋配列のメカニズムを応用して開発している、ヒトに移植可能な腱やじん帯の独自の形成技術について紹介しました。
ブースには連日、多くの大学や企業の研究者をはじめ、日本医療研究開発機構(AMED)、科学技術振興機構(JST)の職員らが訪れ、研究の詳細や実用化の可能性などについて意見を交わしていました。
※首都圏ARコンソーシアム(MARC)
首都圏の私立大学をはじめとする臨床研究機関が連携・協力関係を結び、アカデミアの基礎研究の成果を実用化につなげる非臨床・臨床一体型の橋渡し研究体制の構築、人材の育成、情報の共有等を図ることを目的として2017年1月に発足。22年4月に一般社団法人化されました。現在、16の構成機関と8の連携協力機関が参画しています。
公式ホームページhttps://marc-med.org/